Lumix G X VARIO 35-100mm/F2.8 II

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 いつの頃からでしょうか、f2.8という比較的明るい解放値で設計され、広角域・標準域・望遠域それぞれの画角を持つ3本のズームレンズを巷では「大三元」という麻雀の役になぞらえて呼んでいます。中でも望遠域を担当するフルサイズ換算で70-200ミリ相当の画角を持つレンズは、ポートレート・スポーツ・鉄道・風景など、対応する被写体も多いため人気が高く、メーカー渾身の高性能レンズがひしめき合っています。大口径レンズ故の大型フードや三脚座、メーカーによっては白色の外装が用意されるなど、そのスペシャル感も高くなっていることから、入門者にはいつかは手に入れたい憧れの機材、ベテラン勢からすれば一種のステータスシンボルとして、レンズ界のスーパースター的存在となっています。

 さて、パナソニックからリリースされる本レンズは、35-100ミリという、フイルム時代の標準ズームレンズのような焦点距離で、前述の大三元望遠ズームに相当する画角域を担当しています。小型センサー機を利用する最大のメリットが機材全体の小型軽量化にあることは、幾度となく触れてきましたが、その特徴は本レンズにも顕著に表れています。フルサイズミラーレスであるニコンZシリーズ用のNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sの重量1440グラム・全長220ミリ・フィルター口径77ミリと比べると、本レンズは重量357グラム・全長99.9ミリ・フィルター口径58ミリとその差は明らかで、全長で半分以下、重量に至っては1/3以下というダウンサイジングになります。これにはフルサイズ用では小三元などとも言われている解放f4クラスのレンズであっても到底かないません。フードを付けたままでも上着のポケットに十分収まってくれるので、レンズ交換時のハンドリングも良好で、そのあまりに軽さ故に、カメラバックのサイドポケットに仕舞ったたことを忘れてしまい、何処かに置き忘れてしまったのかと、撮影中に焦った事もあるほどです。以来、撮影中のカメラバックの中では、常時フードを付けたまま保存する癖がついてしまい、小型であるというせっかくの長所を台無しにするという本末転倒な事態を招いています。

 あまりに外観が小柄であることと、小型のペットボトル飲料ほどしかない重量の為、なんだか描写性能も軽く見てしまいがちですが、やはりそこは大三元の一翼、なかなかに侮れない魅力を放ちます。ライバルとして頭に浮かぶのは、オリンパスのMZD40-150/2.8PROとなるでしょうが、強烈なシャープネスは同レンズに譲るとしても、本レンズは独特の雰囲気をまとった個性的な描写をします。もちろん高性能レンズとして、絞り解放から十分なシャープネス発揮してはいますが、前後に広がるやわらかいボケ像が加わることで、とても優しい映像を提供してくれます。カミソリのようなエッジを見せる40-150/2.8PROは、若干ボケ像にも硬さを感じる場面もあって背景処理に気を遣う事もありますが、本レンズ(特にテレ側)ではその心配は無いようです。とりわけ、植物や人物など「柔らかさ」や「しなやかさ」といった質感を求める撮影の場合には、本レンズの方がマッチする事も多いのでしょう。普段は三徳包丁で間に合わせる調理も、時折菜切り包丁を手にすると、その存在意義を確かに感じるかの様に、ライカブランドレンズの中で埋もれてしまいがちなパナソニックレンズの確かな実力を感じる一本です。決してバーゲンプライスとは申しませんが、フルサイズ用の他社レンズと比較すれば十分に「お買い得」な一本。40-150/2.8PROを所有していても、無駄な防湿庫の肥やしとはならないでしょう。

 

 

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湖面に点在するのは、水温む前のヒツジ草の一種でしょうか。凪いだ水面に映った樹の枝に桜が咲いているようです。このレンズの映像を見ていると、なんとなくこちらの気分までほこっりしてくるような気がします。

 

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こういった被写体は本レンズが得意とする所。葉の柔らかさ、含んだ水分の重さが伝わってくるような優しい質感を見事に表現してくれます。

 

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偏見かもしれませんが、なんとなく「日陰」の被写体がマッチする本レンズ。ズームであることは日常の撮影での利便性を上げてくれます。ワイド側の35ミリはフルサイズでいえば中望遠の画角。気になった風景をちょっと切り取るのにとても便利です。

 

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前後のボケはとても柔らかで、質も等しく好感度高め。立体感、空気感を絶妙の塩梅で描き出してくれます。

 

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シャープネスの高さを誇るレンズでは天敵となる事もある「猫じゃらし」のボケ。ガチャガチャとうるさくなって合焦部の邪魔をしてくれる事も多いのですが、見事な「いなし技」。撮影に出かける際は焦点距離が被っていても40-150・35-100の二刀流が理想かもしれません。

 

 

写真展その2.5

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 なんと本年も上記日程で写真展を開催させていただくこととなりました。例年会場の感想ノートに「カラー作品」に関してコメントをいただいており、今回はカラー作品12点の展示となります。そのため第3章とはせず、2.5章と半端な数字での開催です(苦笑)。引き続き東和銀行本店様のロビーにて展示を行います。銀行営業時間のみの開催のため、日程や時間に限りがありますが、興味を持っていただき足を運んでいただけたら嬉しいです。在廊もいたしておりませんので、あしからずご了承くださいませ。

 無事展示期間を終了いたしました。ご来場いただいた方はもちろんの事、興味を持って下さったすべての方々に感謝申し上げます。本日よりWEB上にて12作品公開させていただきましたので、どうぞごゆっくりお楽しみ下さいませ(2021年12月12日追記)

CONTAX Macro Planar 60mm f2.8(C) MM-J

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 私とZeissとの付き合いを決定づけたレンズが、Distagon35/1.4とこの60mmのMacro-Planarです。

 60mmで撮影された写真を初めて目にしたのは、プロカメラマンへの淡い憧れを抱き始めた中学生の頃でした。当時は馴染みのないその焦点距離と、愛用していたNikon製のレンズとのあまりにかけ離れた販売価格、そしてレンズ毎に与えられていた奇妙な呼び名に対して、単純に「疑念」を覚えた事を記憶しています。描写特性などというものは理解どころか興味もなく、ただその摩訶不思議なレンズによって撮影された一枚の写真とその疑念とが記憶の片隅に残っただけでした。

 写真を学ぶ大学に入り、多種多様な写真と触れ合う機会に恵まれる中での出来事です。授業中プロジェクターによって投影されたクラスメイトの写真を見たある日、あの過去に見たMacro-Planarの映像が、突如記憶の淵から呼び起されました。聞けばそのクラスメイトのカメラは「CONTAX」だと言うのです。どうやら過去にかけられたZeissの魔法が、長い時間をかけて私を完全に虜にしていたようなのです。以降、機材の大半がデジタルで占められる今となっても、新しいレンズを評価する際は、必ずこのレンズの描写を判断の基準とする癖が抜けないでいるのです。

 開放から、いかなる撮影距離でも抜群の結像性能を持ち、かつ他製品とは一線を画くと言ってもよいほどに美しいボケを伴います。絞り込んでも変に堅くならない優れた描特性は、f値を考えなければ常用標準レンズといっても過言ではないでしょう。実際、開放付近では少々クセが残る50mmのプラナーに代わり、私のシステムでの標準レンズを長い間努めていました。また、60mmという焦点距離のため適度に緩和されるパースペクティブは、ポートレートレンズとしても優れた一面を発揮します。

 外観の高級感は一級品ですが、非常に大柄で、ピントリングの回転角も大きくなるオリジナルのMacro-Planar。等倍撮影にさえ拘らなければ、小型軽量なCタイプで十二分にMacro-Planarの魅力を感じることが出来るでしょう。

 

 

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機材の主流がデジタルとなった今では、仕上がりのイメージはほぼ現場で掴むことができます。慣れてしまったこの「当たり前」がフイルム時代は「夢」の一つでした。そんな中、本レンズは現像後に「期待外れ」だった事が非常に少ないレンズでした。むしろ「期待以上」に驚かされることも多かったと記憶します。

 


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前後のボケ味は、溶けたり、滲んだりする感じのないしっかりとしたボケ像を作ります。Cタイプは最大撮影倍率が1/2となりますが、文献やスライド複写をする訳ではありませんので、自分にはピッタリのレンズでした。

 

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麦秋の頃、夕立にも似た突然の降雨が止んだ麦畑で一枚。その場の湿度を伝えるかの様な描写です。

 

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まるでテストチャートみたいな被写体。ボケ像は少し固めな印象を受けますが、前後のボケ方に差が少ないので立体感・遠近感を自然に描写してくれます。周辺まで画質が均一なのも「マクロ」を冠する本レンズの美点です。

 

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解像度は高い筈ですが、描写があまり硬くならないのでポートレートでも重宝しました。適度な遠近感の圧縮があり、もちろん近接撮影能力もあるので高い汎用性をもった「標準」として活躍してくれました。

 

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実物は人の小指ほどの大きさしかないシダ類の若葉。マクロレンズは普通のレンズでは出会えない被写体との邂逅をもたらしてくれます。重量級レンズの多いコンタックスレンズ中で常時携行可能となる軽量な点はCタイプの特権となります。

 

 

Lumix G Vario 7-14mm f4 ASPH

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 広角域のレンズは焦点距離1ミリ当たりの画角変化が大きく、わずか数ミリの差によって与えられる映像が驚くほど変化します。それ故に、広角ズームレンズは2倍程度の焦点距離の変化があれば、画角のみでの比較で単焦点レンズ4~5本程度の役割を担うことができます。

 しかしながら、焦点距離の短い広角レンズは倍率色収差や歪曲収差を主とした、描写上問題となる各収差の発生や周辺光量の不足を起こしやすいといった問題があるため、ズーム化するには多くの困難が伴います。また、一眼レフにおいては、レンズ後短と結像面の間にミラーが存在するため、バックフォーカスを長く取らなければいけないという、設計上の大きな制約があります。その為に一眼レフ用の広角ズームレンズでは、低分散ガラスや非球面ガラスをはじめとした高額なガラス材を用いたり、周辺光量不足を補いバックフォーカスを長く取る為の設計故、レンズが大型化・高額化する傾向にあります。

 発売当初、マイクロフォーサーズ規格におけるパナソニック唯一の広角ズームレンズであった本レンズは、35ミリ判換算で14ミリという超広角域までをカバーする特殊レンズながら、バックフォーカスの呪縛から解放されたマイクロフォーサーズシステムの特性を生かし、非常に小柄な筺体を手に入れ、300グラムという驚異的な軽量化を達成しました。また、デジタル専用設計のアドバンテージを生かし、歪曲・色収差・周辺光量の不足といった欠点は画像データー作成時に見事に補正されます。これら新時代の補正技術により、解放から画面全域に渡り滲みの少ないクリアな画像を提供してくれます。f5.6~8あたりですでに解像感は頂点に達し、むしろ絞り過ぎによる回折への注意が必要な様です。

 ここまでの広角域を過去に記憶が無いと言っても良いほどの解像度で再現するこのズームレンズは、最前面に保護フィルターの装着が出来ず、またゴーストの抑制に若干の気を使いこそしますが、非常にコストパフォーマンスに優れた、マイクロフォーサーズシステムならではの一本となります。

 

 

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フルサイズ換算14mmという超広角レンズ。頭上の枝まで写し込む脅威の画角ですので、慣れないうちはどこまで写り込むのか全く見当がつかず、ついつい散漫なフレーミングをしがちになってしまいます。

 

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太陽を画面に入れたフレーミング。「一眼レフ」では眩しさだけではなく目を傷める可能性もある危険な行為。ミラーレス+超広角という事もあって可能になった撮影方法ですが、無論短時間で撮影をすまさなければセンサー部にダメージを残しかねない危険行為には違いありません。しかし高い逆光性能とこの条件下での解像感の高さには驚きました。ローパスフィルター付きのセンサーでも工事現場の安全ネットの網の目がきっちり分解されています。

 

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元々半球形にデザインされたガラス張りの昆虫展示館。画角の広いレンズで撮影すると何とも不思議な映像になります。デジタル補正によって歪曲収差もほぼ感じられませんので、こういった被写体にも安心してカメラを向けられます。

 

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7-14と数値変化以上に画面の変化が大きい超広角ズーム。結局はワイド端側で使ってしまう事が多い気がします。

 

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真上を向くと、超広角ならではの素敵な世界が広がります。意味もなく上を向いてしまう時間が増えるのですが、撮影が終わってPCに画像を取り込むと似たような映像ばかりになってしまい反省することしきりです・・・。

 

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農耕地の液体農薬の貯蔵庫。父の実家周辺は全国的にも有名な葉物野菜の産地ですので、こういった見慣れない建造物が点在しています。建築物の撮影では非常に重宝する焦点距離になります。

 

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強烈なパースとデフォルメが超広角レンズの真骨頂。標識にへばりついて撮影していますが、通行人からしてみたらさぞかし「不審人物」に見えるんでしょうねぇ。

 

 

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH

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 フォーサーズ規格の小型センサーを搭載し、加えてミラーレス構造を採用したマイクロフォーサーズシステム最大の利点といえば、機材システム全体の小型化・軽量化が挙げられるでしょう。EVFや背面液晶といった表示用デバイスのサイズや品質、動画を含めた長時間撮影のためのバッテリーサイズの確保、また道具としての使い勝手やホールディングバランス等を考えると、カメラボディーサイズ自体の極端なダウンサイジングはナンセンスですから、その特徴は「レンズの小型・軽量化」にこそ現れると言えます。さらに、レンズの明るさの重要な要素である口径と、画角を左右する物理特性である「焦点距離」は、レンズそのもののサイズ・重量とある程度の比例関係にあるため、望遠レンズにおいてより顕著に表れることになります。

 171.5mm・985gという全長・重量は他社製含めフルサイズミラーレス機用の70-200mmのf4クラスのレンズにほぼ近く、近似画角のレンズで比較すれば理論値通りのほぼ半分のサイズ・重量で製品化された本レンズは、2021年3月時点でパナソニック製のマイクロフォーサーズ用レンズ群最長の焦点距離である400mm(35mmフルサイズで800mm相当の画角)をライカお墨付きの品質で実現した「超望遠ズームレンズ」となります。フルサイズでの800mmとなれば、ハチゴローの愛称もある800mm・f5.6が有名ですが、高い設計技術と最新の軽量素材を用いたとしても全長450mm、重量で言えば4kg越えと、よほどの肉体派カメラマンであっても長時間の手持ち撮影は至難の業となりましょう。しかし本レンズは解放f値6.3と半絞りのハンデこそあれ、画角調整も可能なズームレンズとし、また手持ち撮影も十分可能な小型軽量化を果たしている為に「超」が付く望遠域の撮影を手軽に楽しめるマイクロフォーサーズの恩恵を最大限に生かした製品となっています。また、強力なボディー協調手振れ補正のおかげで、本来であれば被写体を画面内に留めて置くだけでも困難な手持ち撮影も、(多少の訓練は必要ですが・・・)難なくこなせますし、オートフォーカスも静穏・俊敏でストレスなく被写体を捕まえてくれますので、鉄道・野鳥・飛行機・レースなど高速で移動する遠景の被写体を捉える撮影では、代えがたい存在になるでしょう。無論、主題を切り取る風景写真などでも、極端に圧縮されたパースによる望遠効果が生む独特の描写は表現の幅を広げ、スマートフォン等では代替不能な(将来はわかりませんケド)映像を提供してくれるでしょう。

 描写特性は300mm程度までは切れ味・コントラス共に優秀で、ボケも比較的素直な印象があります。300mm付近からテレ端では若干のコントラストの低下と解像感の低下が見られ、また二線ボケ傾向がやや強めに感じられるボケ像となります。この特性に関しては、ネット上でも同意見が散見されますが、メーカー公表のMTF値は非常に優秀ですので、超望遠効果による大気圧縮の影響や、微細なブレ、試用した個体の経年変化や個体差の影響も加味して考えないといけないのでしょう。(可能であれば別個体を試用する機会を設け、追記したいと考えます)また、引き出し式の内蔵フードは無いよりマシ程度の残念仕様のため、別途用意されるエクステンションフードはあった方がいいでしょう。取り外しができる三脚座が標準で付属しますが、造形が鋭利であるため、手持ち撮影時は「取り外し推奨」と言わざるを得ないほど、肌に食い込むドS仕様なので注意が必要です。(掌に三脚座を載せたい派の方は手の皮を鍛えるか手袋必須)また、初期の製造ロットではズーム作動が渋いと感じる個体もあったようですが、現在この辺りは改善されているという記述も見かけました。(レンズ先端を持って直進ズームとして使えば問題ないという猛者もいらっしゃいましたが)

 試用後は欠点の存在を感じる感想を得つつも、何物にも代えがたいスペックと超望遠効果による独特の描写、小型のカメラバックに十分収まるミニマムな外観など、それらを補って余りある特徴を持った本レンズ。被写体と使い方によっては、龍にも馬にもなれるポテンシャルを秘めた飛び道具として、養子に迎える日も遠くないのかもしれません。

 

 

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夕陽に照らされた廃機関車。望遠効果により圧縮された遠近感描写に、この車体が刻んだ歴史も同時に凝縮されているかの様です。100~200㎜付近の描写は先鋭度・質感描写ともに非常に満足度が高いものになります。

 

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足尾銅山のシンボル遺構、旧精錬所の大煙突。空のトーンを出したかったので露出をかなり切り詰めましたが、風雨にさらされ劣化した煙突表面の微細な凹凸をトーン豊かに描き出します。

 

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冬場にこの場所を訪れると、必ず「その者蒼き衣を纏いて、云々」という「あの一説」が頭に浮かびます。川の対岸に広がる枯野ですが、非常に繊細な描写が何ともいえないノスタルジーを誘います。

     

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テレ端の映像。合焦部のピントのエッジはまずまずでしょうか。前後のボケに特徴的な癖がでてきますので、被写体によっては向き不向きを感じるかもしれません。ニコンの500㎜反射望遠レンズで得られた映像にも似た傾向があったと記憶します。それにしても、フルサイズ800㎜相当となる画角では、ファインダーを覗くまで一体どんな映像になるのか想像するのが難しく、同時にあまりに肉眼とかけ離れた遠近感の圧縮描写に何度も驚かされます。そして、病みつきになります。

 

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流行りの言葉で「オールドレンズ」ライクな写りとでも言えばよいのでしょうか?バキバキのカリカリではないテレ端の描写は、どこかほっこりとした印象を受けます。

 

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逆光の影響もあったのか、やや眠たい映像となりました。天候はほぼ快晴でしたが、時折強風とともに粉雪が舞う中、圧縮効果によって空気中の雪が写り込んだ不思議な映像となりました。

 

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本レンズでのワイド端100mm。先鋭度が非常に高いキレキレな描写です。ノーマル設定のいわゆるJPEG撮って出しですが、学生時代に愛用したエクタクロームE100VSを彷彿とさせる特徴的なブルーの発色を見せてくれました。

 

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西日差し込む変電所の窓。映画のワンシーンの様な印象的な描写です。極端な光線状態でこういった描写を見せられると、所有欲を抑えるのが非常に困難になります。給付金、ワンスモア。

 

 

プロフィール

フォトアルバム

世界的に有名な写真家「ロバート・キャパ」の著書「ちょっとピンボケ」にあやかり、ちょっとどころか随分ピント外れな人生を送る不惑の田舎人「えるまりぃと」が綴る雑記帳。中の人は大学まで行って学んだ「銀塩写真」が風前の灯になりつつある現在、それでも学んだことを生かしつつカメラ屋勤務中。

The PLAN of plant

  • #12
     文化や人、またその生き様などが一つ所にしっかりと定着する様を表す「根を下ろす」という言葉があるように、彼らのほとんどは、一度根を張った場所から自らの力で移動することがないことを我々は知っています。      動物の様により良い環境を求めて移動したり、外敵を大声で威嚇したり、様々な災害から走って逃げたりすることももちろんありません。我々の勝手な視点で考えると、それは生命の基本原則である「保身」や「種の存続」にとってずいぶんと不利な立場に置かれているかのように思えます。しかし彼らは黙って弱い立場に置かれているだけなのでしょうか?それならばなぜ、簡単に滅んでしまわないのでしょうか?  お恥ずかしい話ですが、私はここに紹介する彼らの「名前」をほとんど知りませんし、興味すらないというのが本音なのです。ところが、彼らの佇まいから「可憐さ」「逞しさ」「儚さ」「不気味さ」「美しさ」「狡猾さ」そして時には「美味しそう」などといった様々な感情を受け取ったとき、レンズを向けずにはいられないのです。     思い返しても植物を撮影しようなどと、意気込んでカメラを持ち出した事はほとんどないはずの私ですが、手元には、いつしか膨大な数の彼らの記録が残されています。ひょっとしたら、彼らの姿を記録する行為が、突き詰めれば彼らに対して何らかの感情を抱いてしまう事そのものが、最初から彼らの「計画」だったのかもしれません。                                 幸いここに、私が記録した彼らの「計画」の一端を展示させていただく機会を得ました。しばし足を留めてくださいましたら、今度会ったとき彼らに自慢の一つもしてやろう・・・そんなふうにも思うのです。           2019.11.1

The PLAN of plant 2nd Chapter

  • #024
     名も知らぬ彼らの「計画」を始めて展示させていただいてから、丁度一年が経ちました。この一年は私だけではなく、とても沢山の方が、それぞれの「計画」の変更を余儀なくされた、もしくは断念せざるを得ない、そんな厳しい選択を迫られた一年であったかと想像します。しかし、そんな中でさえ目にする彼らの「計画」は、やはり美しく、力強く、健気で、不変的でした。そして不思議とその立ち居振る舞いに触れる度に、記録者として再びカメラを握る力が湧いてくるのです。  今回の展示も、過去撮りためた記録と、この一年新たに追加した記録とを合わせて12点を選び出しました。彼らにすれば、何を生意気な・・・と鼻(あるかどうかは存じません)で笑われてしまうかもしれませんが、その「計画」に触れ、何かを感じて持ち帰って頂ければ、記録者としてこの上ない喜びとなりましょう。  幸いなことに、こうして再び彼らの記録を展示する機会をいただきました。マスク姿だったにもかかわらず、変わらず私を迎えてくれた彼らと、素晴らしい展示場所を提供して下さった東和銀行様、なによりしばし足を留めて下さった皆様方に心より感謝を申し上げたいと思います。 2020.11.2   

The PLAN of plant 2.5th Chapter

  • #027
     植物たちの姿を彼らの「計画」として記録してきた私の作品展も、驚くことに3回目を迎える事ができました。高校時代初めて黒白写真に触れ、使用するフイルムや印画紙、薬品の種類や温度管理、そして様々な技法によってその仕上がりをコントロールできる黒白写真の面白さに、すっかり憑りつかれてしまいました。現在、フイルムからデジタルへと写真を取り巻く環境が大きく変貌し、必要とされる知識や機材も随分と変化をしましたが、これまでの展示でモノクロームの作品を何の意識もなく選んでいたのは、私自身の黒白写真への情熱に、少しの変化も無かったからではないかと思っています。  しかし、季節の移ろいに伴って変化する葉の緑、宝石箱のように様々な色彩を持った花弁、燃え上がるような紅葉の朱等々、彼らが見せる色とりどりの姿もまた、その「計画」を記録する上で決して無視できない事柄なのです。展示にあたり2.5章という半端な副題を付けたのは、これまでの黒白写真から一変して、カラー写真を展示する事への彼らに対するちょっとした言い訳なのかもしれません。  「今日あっても明日は炉に投げ込まれる野の草さえ、神はこのように装ってくださるのなら、あなたがたには、もっと良くしてくださらないでしょうか。」これはキリスト教の聖書の有名な一節です。とても有名な聖句ですので、聖書を読んだ事の無い方でも、どこかで目にしたことがあるかも知れません。美しく装った彼らの「計画」に、しばし目を留めていただけたなら、これに勝る喜びはありません ※聖書の箇所:マタイの福音書 6章30節【新改訳2017】 2021年11月2日

hana*chrome

  • #012
     「モノクロ映画」・「モノクロテレビ」といった言葉でおなじみの「モノクロ」は、元々は「モノクローム」という言葉の省略形です。単一のという意味の「モノ」と、色彩と言う意味の「クロモス」からなるギリシャ語が語源で、美術・芸術の世界では、青一色やセピア一色など一つの色で表現された作品の事を指して使われますが、「モノクロ」=「白黒」とイメージする事が多いかと思います。日本語で「黒」は「クロ」と発音しますから、事実を知る以前の私などは「モノ黒」だと勘違いをしていたほどです。  さて、私たちは植物の名前を聞いた時、その植物のどの部分を思い浮かべるでしょうか。「欅(けやき)」や「松」の様な樹木の場合は、立派な幹や特徴的な葉の姿を、また「りんご」や「トマト」とくれば、美味しくいただく実の部分を想像することが多いかと思います。では同じように「バラ」や「桜」、「チューリップ」などの名前を耳にした時はどうでしょうか。おそらくほとんどの方がその「花」の姿を思い起こすことと思います。 「花」は植物にとって、種を繋ぎ増やすためにその形、大きさ、色などを大きく変化させる、彼らにとっての特別な瞬間なのですから、「花」がその種を象徴する姿として記憶に留められるのは、とても自然な事なのでしょう。そして、私たちが嬉しさや喜びを伝える時や、人生の節目の象徴、時にはお別れの標として「花」に想いを寄せ、その姿に魅了される事は、綿密に計画された彼らの「PLAN(計画)」なのだと言えるのかもしれません。  3年間に渡り「The PLAN of Plant」として、植物の様々な計画を展示して参りましたが、今年は「hana*chrome」と題して「花」にスポットを当て、その記録を展示させていただきました。もしかしたら「花」の記録にはそぐわない、形と光の濃淡だけで表現された「モノクローム」の世界。ご覧になる皆様それぞれの想い出の色「hana*chrome」をつけてお楽しみいただけたのなら、記録者にとってこの上ない喜びとなりましょう。                              2022.11.1

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