CONTAX Planar 135mm f2 AE-G
明るい開放f値を持つ高性能望遠ズームレンズの台頭により、望遠レンズの主役としての役目をそれらズームレンズに明け渡してしまうまで、135ミリという焦点距離のレンズは望遠レンズの花形でありました。
中でも、開放f値を2とする大口径レンズは、望遠レンズラインナップのフラッグシップとして各メーカーの心血を注いだ傑作レンズが多く、それぞれが数多くの伝説を生んでいます。それは、CONTAXブランドにおいても例外ではなく、このPlanar135mmf2も様々な逸話に溢れています。販売本数の減少でコンタックスレンズの販売終了を待つまでもなく、ラインナップからは削除されこそしましたが、CONTAX60周年記念販売品として限定発売されたモデルは、デジタルカメラ用レンズ全盛の現在でもかなりの高値で取り引きされることも少なくない、幻のレンズとなっています。
開放では、適度な解像感とやわらかな質感が絶妙なバランスを見せ、薄いベールをまとったかのような美しい前後のボケとともに、主要被写体を美しく浮き立たせます。絞り込めば、一段と先鋭度と色のノリを増し、針の穴をも通す様な繊細で切れ味鋭い画像を提供してくれます。伝説の中に閉じこめておくのは余りに惜しい、このレンズの本当の所有権を得ることができるのは、いったい何時の日になるのでしょう。
ピントの合った部分のシャープネスは解放から十分に高く、それでいて少しソフトフォーカス気味に弱い滲みが発生します。かといって、完全なソフトフォーカスと言う訳ではなく、絹のベールを纏ったかの様な独特の描写が非常に心地良く、とにかく解放で撮影したくなります。
ボケがうるさくなりがちな小枝の後ボケですが、ボケるというよりは、コントラストを下げて滲んで溶けていくようなイメージです。水彩画の手法のような独特なボケは85㎜のプラナーのボケ+αの繊細なタッチです。
絞り込んでゆくと、みるみるコントラストが上がり、周辺まで非常にシャープな結像をします。最新の高性能ズームレンズには無い二面性が、この手のレンズが現代でも人気が高い理由でしょうか。普段持ち歩くには大柄で重量もかさみますが、レンズ2本分の仕事をしてくれると思えば多少は我慢できるということで・・・。
遠景の描写も、やはり独特です。枝一本一本がきっちり解像されながらも、バリバリのシャープネスという訳ではありません。f2という明るさも、日没後の薄暗い状況ですが手持ち撮影を可能にしてくれました。
幻のレンズ…
僕も、いつかは手にしたいレンズがいくつかありますが、いつになることやら。
本当に、レンズって語りだしたらきりがないですよね。
投稿: Σ | 2010年10月19日 (火) 00:47
Σ様、こんにちは。
こちらへもおいで頂き有り難うございます。m(__)m
以前にこの記事を書いた時と比べて、カメラやレンズを取り巻く環境がずいぶん変わってしまいました。
銀塩・マニュアル時代のレンズの中古相場はかなり下がって買いやすくなったと思います。
がしかし、このレンズの様に下がっても十分値段の高い物のあって、そんなレンズに限って欲しかったりするのでタチが悪いです。(^^;
最近はアダプターを使ってフィルム時代のレンズをデジタルで撮影する機会も増えているので、面白いレンズに出会ったらこちらで紹介していこうと思っています。
投稿: A.T | 2010年10月19日 (火) 08:53