CONTAX G Biogon 28mm f2.8

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 絞り羽根を挟み、前後対象にレンズを配置する対象型レンズは、描写上問題となる各収差を効率的に除去できる設計方法として、レンズ設計の中では非常に歴史が古く、現在でも大判カメラ用レンズでは主流のレンズ構成となっています。

 しかしながら、レンズ後端とフィルム面との間にミラーを配置しなければならない一眼レフでは、短い焦点のレンズを対象型で設計する事は物理的に不可能となります。このため一眼レフ用の短焦点レンズでは、レトロフォーカスと呼ばれるレンズ構成を用いる事が多いのですが、残念なことに新種のガラスや最新の設計理論を用いたとしても、歪曲収差や色収差の補正面において、対象形設計のレンズの性能を再現することは困難を極めます。

 ですから、ミラーボックスを排除したコンタックスGシリーズ用の広角レンズとして、「Biogon」の名を冠する対象形設計の銘レンズが復活したことは、写真界にとってまさに福音とも言えるでしょう。 銘レンズの名に恥じない完璧なまでに補正された歪曲収差。少ない構成枚数がもたらす何処までもクリアな画質。そして素晴らしいコントラストと解像感。さらに写りの凄まじさからは想像も出来ないコンパクトな鏡胴とリーズナブルな価格。その魔力はいったい何人のフォトグラファーをGシリーズ所有者と化したのでしょうか。

 デジタルのフルサイズミラーレスが発売になるや否や、マウントアダプターが各社からリリースされ本レンズも中古相場が高騰しましたが、センサーへの入射角がきつくなる特性を持つビオゴンタイプの宿命で、デジタルでは周辺画質にいささか問題が出る為か現在では沈静化しています。マイクロフォーサーズでは56mm相当画角と焦点距離も微妙ですので、デジタルでの活用には二の足を踏みますが、この先もしフイルムに戻る機会があったのなら間違いなく購入候補に挙がる一本でしょう。

 

 

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歪曲収差を小さくできるのは対象型設計最大の恩恵。デジタル補正の無い時代、歪みの少ない広角レンズはそれだけで存在価値がありました。真夏の晴天、コントラストの高い被写体でしたがハイライトからディープシャドーまできっちりと表現してくれました。

 

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赤色を派手目に発色するフイルムを使用。新緑との対比が映えます。フイルム時代は好みや目的に応じてフイルムを使い分けるのが楽しかったのですが、選択肢が年々限られて行きますね。乳剤のロットや現像所に拘っていた時代が懐かしいです。

 

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おなじみの都庁。田舎者なので、高層ビルを見るとつい見上げてしまいます。周辺光量落ちの目立つ条件ですが、被写体にマッチするとドラマチックな絵を作るための優秀なエフェクトになってくれます。

 

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小旅行で訪れた上高地、突然の夕立で雨宿り先を探している時の一枚。Gシリーズはレンズ数本を足しても小型のバックに収まる優秀なシステムでした。軽量で取り回しやすく、レンズが皆優秀だったので、「撮影」がメインでない旅行などにはとても重宝しました。

 

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5群と構成枚数が少ないことも高い逆光性能に貢献。極端な条件でなければゴーストやコントラストの低下などに悩むことはないでしょう。スキャン画像ではうまく伝わりませんが、「ヌケが良い」という言葉の意味を実感できる描写です。

 

 

Carl Zeiss Macro-Planar 100mm f2 ZF.2

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  カメラ=デジタルカメラが一般化した昨今では、レンズの描写特性よりもセンサーの画素数やダイナミックレンジの広さ、またノイズ処理に代表される画像エンジンの特性といった面で画質を評価する場面が多くなった気がします。だからこそ、メーカーはこぞって画素数の向上や、常用感度の上昇、またダイナミックレンジの拡張や長秒時露光下のノイズ低減を謳い、新しいカメラこそが、最良の画質を手に入れる唯一の手段であるとばかりに我々に訴えかけてきます。

 また、非球面レンズや低分散ガラス等に代表される、かつてプレミアムレンズにのみに採用された技術・光学素材が廉価製品にも積極的に採用され、コンピューターシミュレーションを駆使した高度なレンズ設計技術が確立されている今日では、レンズ毎の物理的な性能差を論じる事はすでに意味をなさなくなってしまったのかもしれません。

 だからこそ、そんな時代に世界屈指の光学製品メーカーであるCarl-Zeissの名を冠するレンズが、Made in Japanの刻印と共に存在し続ける、その意味を自分なりに感じてみたい・・・。そんな欲求からなかなか逃れられないのです。京セラ・CONTAX時代のMacro-Planarと比べ、さらに一段分の明るさを手にした新時代の本レンズは、引き換えに最大撮影倍率を1/2倍へと落としていますが、Macro-Planarの看板を背負う性能をf2という明るさで実現するには、この仕様変更はやむを得ない事だったのでしょう。解放から合焦部の解像感はすさまじく、モニター上で拡大を続けても画像が破綻することはありません。高解像レンズの宿命か、アウトフォーカス部はやや硬さを残したものとなりますが、前後のボケの質がピタリと揃っているために、中望遠レンズ特有の緩やかな遠近感の圧縮と組み合わさり、画面内に豊かな立体感がひろがります。結果として画面全体に圧倒的なリアリティーが出現し、モニター上には撮影時の空気の匂いまでが漂うようです。質の高いオーディオ装置で音楽を聴く時、ときとしてスピーカーの存在が消える、といった表現をオーディオの世界では使いますが、このレンズが映し出す映像は、レンズそのものの存在を忘れさせてしまうかの様です。

 近い焦点距離である135mmにも、明るさを同じくf2とし、詩的で情緒的な描写を見せるApo-Sonnarが存在するZeissのラインナップですが、あまりに性格の違うこの2本で選択を迫られるとしたら、それは「ビアンカ・フローラ」問題に匹敵する男子永遠のテーマとなるかもしれません。  無論、この際の「重婚」は罪にはならないのでしょうが・・・・。

 

 

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夏の曇った午後、少し湿った空気に夕立の気配が漂います。朽ち行く車両・今を盛りと青葉を茂げらせる野草、それぞれの質感が見事に伝わります。中望遠レンズの画角は、丁度凝視した際の人間の視界に近く、気になった風景の一部を切り取る際に重宝します。

 

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靄の立ち込める避暑地。肌にまとわりつく湿気がモニター越しにも伝わってきませんか?もちろんフルサイズセンサーの懐の深さの恩恵もありますが、シャドー部の豊かな諧調がこの独特な空気感を生み出してくれます。

  

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コーティングも優秀です。明暗比のある被写体ですが、シャドー部への嫌な影響は感じられません。ハイライト捨て気味のシャドー部優先の露出ですが、ギリギリハイライトにも色が残ってくれました。

 

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コンタックス(京セラ)時代のマクロプラナーは解放f値は2.8でしたが、新レンズはf2と一段大きなボケが利用できます。合焦部のシャープネス・ボケ味のバランスも良く、意地の悪い被写体を選んでも、涼しい顔で応じてくれました。「マクロ」を名乗っていますが、当然風景やポートレートでも大活躍です。

 

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靄がかかっているとはいえ、そこそこ強烈な逆光です。しかしながらゴーストも感じられずエッジ部への嫌な色づきも見られません。本レンズの設計はまだフイルム主流の時代だったはずですが、高画素デジタルでも十二分に性能を発揮します。

 

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ボケ方によっては非常に見苦しくなる被写体ですが、ご覧の通り。とろけるようなボケとはいきませんが、前後のボケのバランスも良いので、安心して構図が組み立てられます。

 

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ボケ像に適度にエッジが残るので、ボケの中にも被写体の存在感は残ります。滲ませた水彩画のような繊細なトーンが日常を叙情的に記録してくれます。

 

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絞り解放での周辺光量低下も好ましい感じです。表現上必要不可欠な場合を除いてはカメラ設定の「周辺光量補正」を原則「切」で使うのが自分のスタイルですが、特にモノクロでは少し周辺が落ちてくれる位の方が好みですね。銀塩プリントの際は、良く周辺を焼き込んでいたのを思い出します。

 

 

 

写真展

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12月1日追記

 無事写真展の会期を終えることができました。会期中、わざわざ遠方から都合をつけてきていただいた方、こちらからの招待の応じて頂いた方、たまたま銀行へお越しいただいた際に足を止めていただいた方、等々、沢山の方々に写真をみていただき、また多くのコメントを頂戴し本当に感謝しております。学生時代から友人との共同展示などは幾度か経験もありましたが、今回は「個展」という、初めての経験。仕事の都合とはいえ、在廊もままならぬ展示ではありましたが、とても良い経験をさせていただきました。近いうちにこちらのブログにも展示作品をアップさせていただきますので、そちらもご覧いただければ幸いです。今後もこういった機会を得られましたら、2回、3回と展示を・・・と思っております。

 本当にありがとうございました。

  ご案内が遅れてしまいましたが、拙写真展、上記にて開催しております。地元銀行のロビーにて12点ほどのプチ規模です。銀行営業時間のみの開催のため、平日のお仕事をされている方には難しいかと存じますが、興味を持っていただき足を運んでいただけたら嬉しいです。それと、当方も仕事ゆえ、在廊いたしませんのでアシカラズです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

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 いわゆる標準画角を持つ焦点距離のレンズ(35ミリフルサイズにおいては50㎜付近)は、歴史的に見ても各メーカーの「最も明るいレンズ」が存在するケースがほとんどで、ライカのノクチルックスや、キヤノン7用のf0.95、ニコンSマウントのf1.1など、レンジファインダー機が主流だった時代から、そのメーカーを代表するレンズが存在しています。また、登場時いずれも高額で販売本数も決して多くなかったこともあり、現在ではその多くがプレミア価格で取引されるのが常です。無論、メーカーは中古相場の高騰などに興味は無いのでしょうが、現在でもその傾向は色濃く残っています。ニコンにおいてはFマウントの口径に起因する制限によって、長年f1.0以上の明るさを持つレンズが開発できなかったとがある種トラウマだったようで、大口径の新生Zマウントでは、開発発表と同時に解放f値を0.95とする58㎜レンズの発売がアナウンスされたのがとても印象的だったのを記憶していいます。(注:売価は100万円を超えてきましたが・・・)

 御多分に漏れず解放f値を1.2とする本レンズも、オリンパスが発売するM4/3フォーマット用に用意されたレンズ中で最高の明るさを誇りますが、レンズ構成枚数19枚、メーカー小売価格165,000円と、実に「標準」らしからぬ佇まいを見せます。しかしながらフィルター径62㎜・重量420グラムと、小型センサー機の特徴を生かした非常にハンドリングの良いレンズになります。名称にPROを掲げるだけあって、描写性能も「標準」以上で、f1.2の解放から非常に切れのよい合焦部と、その前後になだらかに、そして美しく広がる極上のボケを見せます。ボケ味は実体のエッジ部を距離ごとに徐々に滲ませて行くタイプで、前後のボケ方に差が少ないので、極めて自然に合焦部が引き立てられます。同社からは解放をf1.8とした25mmレンズも発売され、こちらも相当に質の高い描写をしてくれますが、この約1絞り分の明るさと定価ベースで10万円以上の差を惜しむ理由が当方には見当たりませんでした。(差額を捻出できる根拠も見当たらなかったのですが・・・・・・)勤務先に入荷したものを借用してテスト撮影をしましたが、結局在庫棚に戻ることは無く、我が家の防湿庫を住処としてしまいました。オリンパスには17㎜と45㎜にもf1.2のPROレンズがラインナップされていますが、懐を直撃するので暫くは入荷しないでほしいと願っております。

 

 

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25mmとはいえ、やはり解放付近では被写界深度激薄です。特筆するべきは合焦部からなだらかに始まる美しいボケ。収差の加減によっては汚く見えそうなワンピースの細かい柄ですが、とても自然に溶けています。眉毛一本までしっかりと解像する合焦部、手の丸さ、柔らかさを見事に表現する質感描写。なだらかで少しの嫌味もないボケ味。ポートレートレンズとして文句の付け所がありません。

 

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意地悪に造花を前ボケとして入れてみました。後ボケが綺麗なレンズには、前ボケに硬さが残る物も多く存在しますが、本レンズは前ボケの描写も見事。それにしても合焦部のシャープネスには脱帽します。オリジナルデータでは瞳に映り込んだステンドグラスまでもしっかりと描写されています。最近はあまり人物の撮影をする機会は多くないのですが、こんなレンズを手にしてしまうと、ポートレートを撮りまくっていた高校時代に戻りたくなってしまいます。

【モデルは地元「エトワールモデルエージェンシィ」所属の「ともか」さんでした】

 

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こういったスナップに最適な標準画角。目に入った物を素直にフレーミングできます。とても暗い室内だったのですが、f1.2という明るさは最大の武器。「明るいレンズ=大きく重いレンズ」はマイクロフォーサーズでは気にならないレベル。写真が上手くなったと、勘違いさせてくれる「有能」なレンズです。

 

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テストで借用した際にこの絵が撮れてしまったので、結局はそのまま購入となりました。解放でこのピント+自然なボケ方は、もはや異常と呼べるレベル。

 

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これも、おそらくはこのレンズでなければ撮れなかった絵。路地裏に咲いた小さな花を撮影した一枚が、ここ最近で一番のお気に入りとなりました。

 

 

ASAHI PENTAX Super-Takumar 50mm f1.4

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 「オールドレンズありますか?」

 中古カメラ店で、にわかに耳にするようになった比較的若いお客様からの要望。あまりに漠然としていますから、「古いレンズでしたら色々とありますが、メーカーや焦点距離はどういった物が希望ですか?」と問いかけると「カメラの事はわからないんですが、こういうの撮れるヤツです」とスマートフォンを取り出します。そこには、インスタグラムやTwitter等のSNSにアップされた、「ちょっと解像力が不足したモノクロの風景」や、「激しく口径食を伴い渦を巻いたような見苦しいボケとともに写されたアンニュイな表情の少女のポートレート」、また「カラーバランスが著しく狂い、加えて粒子感がやたら際立ったセルフィー」(個人の感想です)などが並んでいます。

 デジタル技術の驚異的な進歩により、昨今では映像を高い精度で正確に記録する事ができる機器を誰もが当たり前に手にするようになりましたが、どうやら反面「正確に写る」事よりも「写り過ぎない」独特の個性を持った描写に惹きつけられる写真ファンが誕生しているようなのです。検索サイトに調べたい語句を入力すれば、たちまちに正しい答えが手に入る時代だからこそ、彼らには「曖昧な結果」や、「読み切れない行間」、「予想と違う反応」、そういった物が新鮮で魅力的であり、むしろそこに真のリアリティーを感じているのかもしれません。

 一方で、ミラーレス一眼の普及により、近年はマウントアダプターを介してフイルム時代の膨大なレンズが簡単に楽しめるようになりました。そして、上記のような理由が全てとは言えませんが、現代のレンズに比べ、その描写に独特の個性を持つ個体が少なくないオールドレンズは「独自の映像表現」を求める層に爆発的に広まっていったのです。中でも国産オールドレンズの雄、PENTAX製のスクリューマウント(通称M42マウント)レンズは、販売当時庶民の一眼レフとしてカメラ王国日本の礎を築いた大ヒットカメラの交換レンズであったため、市場に豊富に存在(結果として安価で販売)していた事や、ねじ込むだけの簡単な取り付け方法なので、マウントアダプターも多くの種類が製造されていた事など、「とりあえず試してみる」のに最適な環境が揃っていました。その結果多くのオールドレンズファンの目に留まる事となり、中古カメラ屋視点から見ても「異例」なほどの人気商品となりました。これまでは、光学素材の経年劣化、カビの発生、グリスの劣化などがあれば即「ジャンク品」のレッテルが貼られた「タクマー」の標準レンズが、堂々とネットオークションの花型商材となっているのですから、驚きを隠せません。

 流行だからといって、鼻で笑ってしまえばそれまでです。そのままでは「今の若い者は・・・」といったジェネレーションギャップに埋もれてしまいそうな「オールドレンズ」の魅力とはいったいどんな物なのでしょう。私より少し先輩の「Super-Taumar」の描写、マウントアダプターを介した最新のミラーレスでその実力を拝見して見たいと思います。

 

 

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マイクロフォーサーズでは35㎜フイルム用の50㎜レンズは、フルサイズ換算で100㎜の中望遠レンズの画角となります。最短撮影距離は45センチですので、これはちょっとしたマクロレンズ。レンズの描写性能は中央部から周辺にかけて低下をするのが一般的ですから、結果として中央部を切り取る使用法となる4/3センサーでは、解放絞りとはいえ十分に解像感の高い描写となります。拡大すると、光沢分部に微妙なハロ見えますが、それがかえって使い古された金属の鈍い輝きを巧みに描いてくれます。

 

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古いモノはオールドレンズで。正規の役目を終えて久しい電気機関車のナンバープレート。これが実際に走行していたのを撮影したのは自分が小学生の頃。展示館に安置されている姿を再び撮影するようになるとは、何とも不思議な感覚です。f4あたりまで絞ると、前述のハロは消え非常に端正な写りに。もともと性能は高いレンズですから、いわゆるオールドレンズ的ではなくなってしまいますね。

 

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屋外では、光の強く当たった部分は若干滲みをともなう、いかにもオールドレンズらしい描写に。それでも妙な破綻は無く、歪曲も少ないのは優秀な設計の賜物でしょう。

 

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初期の「Super-Takumar」には、放射能を持つ元素「トリウム」を含むガラスを使用していた物が存在します。もちろん、人体に影響を及ぼすほどの放射線は出していないとの事ですが、この素材は経年劣化で茶褐色に変質してしまうことが多く、入手した個体もかなり変色したガラスが光学系に存在していました。デジタルカメラではホワイトバランスの調整で影響を押さえ込むこともできますが、あえて日中5500ケルビンに固定して、アンバーに偏った発色を楽しんでみました。何とも言えないノスタルジーを感じる色です。これぞ、オールドレンズ。

 

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シャープさと柔らかさが同居した素敵な描写ですね。被写体がマッチすれば、代えがたい魅力を放ちます。近年はブームに乗って、これらのレンズは中古相場が高騰しています。かつてどこの中古カメラ店にも必ずと言って存在していたM42のタクマー。今はちょっとしたレアアイテムの仲間入り。まぁ、もう少し時間がたてば・・・・ね。

 

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同時に入手したマウントアダプターは、ヘリコイドを搭載し、中間リングの仕事もしてくれます。最短45センチをさらに割り込んだ接写ですが、性能の落ちる周辺を使用しないため十分な性能を発揮。やはり、金属部分の独特の光沢がいい味をだしています。劣化したHゴムや木製の窓枠などの質感も、とても味わい深く描写されています。

 

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電子シャターを使用すると、超高速のシャッタースピードが利用できるため、なんとか屋外でも1.4という解放絞りを堪能することができました。しかし、解放の描写が面白いとやたらと絞りを開ける癖が出てしまいますので、オールドレンズを使うときはNDフィルターが必携ですね。

 

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初めは、流行に乗ってちょっと作例を・・・なんて簡単に考えていましたが、この描写は捨てがたくなってしまいました。実はPENTAXのレンズで本格的に撮影したのは今回が初めて。もしかしたら、いけない沼に足を入れてしまったのかも。

 

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ポートレート撮影に持ち出す機会があったので、久々のMFでポートレート。最近はG9の瞳認識に頼った撮影ばかりしていたのでちょっと心配でしたが、そこは昔取ったなんとやらでしょうか、ちゃんとピント合ってました(^^;;解放での微妙なハロが女性の優しい雰囲気をうまく引き立ててくれます。換算100㎜となる点もポートレートにジャストミート(古)でした。

 

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ややアッパー気味に強めのレフを当て、アンニュイな表情で一枚。一枚一枚ピントを調整しながらの撮影は久々でしたが、適度な間と、オールドレンズならではの独特の柔らかな描写で、非常に心地よい撮影となりました。もちろん、モデルさんの技量に相当助けられましたが・・・

【モデルは地元「エトワールモデルエージェンシィ」所属の「ともか」さんでした】

 

 

プロフィール

フォトアルバム

世界的に有名な写真家「ロバート・キャパ」の著書「ちょっとピンボケ」にあやかり、ちょっとどころか随分ピント外れな人生を送る不惑の田舎人「えるまりぃと」が綴る雑記帳。中の人は大学まで行って学んだ「銀塩写真」が風前の灯になりつつある現在、それでも学んだことを生かしつつカメラ屋勤務中。

The PLAN of plant

  • #12
     文化や人、またその生き様などが一つ所にしっかりと定着する様を表す「根を下ろす」という言葉があるように、彼らのほとんどは、一度根を張った場所から自らの力で移動することがないことを我々は知っています。      動物の様により良い環境を求めて移動したり、外敵を大声で威嚇したり、様々な災害から走って逃げたりすることももちろんありません。我々の勝手な視点で考えると、それは生命の基本原則である「保身」や「種の存続」にとってずいぶんと不利な立場に置かれているかのように思えます。しかし彼らは黙って弱い立場に置かれているだけなのでしょうか?それならばなぜ、簡単に滅んでしまわないのでしょうか?  お恥ずかしい話ですが、私はここに紹介する彼らの「名前」をほとんど知りませんし、興味すらないというのが本音なのです。ところが、彼らの佇まいから「可憐さ」「逞しさ」「儚さ」「不気味さ」「美しさ」「狡猾さ」そして時には「美味しそう」などといった様々な感情を受け取ったとき、レンズを向けずにはいられないのです。     思い返しても植物を撮影しようなどと、意気込んでカメラを持ち出した事はほとんどないはずの私ですが、手元には、いつしか膨大な数の彼らの記録が残されています。ひょっとしたら、彼らの姿を記録する行為が、突き詰めれば彼らに対して何らかの感情を抱いてしまう事そのものが、最初から彼らの「計画」だったのかもしれません。                                 幸いここに、私が記録した彼らの「計画」の一端を展示させていただく機会を得ました。しばし足を留めてくださいましたら、今度会ったとき彼らに自慢の一つもしてやろう・・・そんなふうにも思うのです。           2019.11.1

The PLAN of plant 2nd Chapter

  • #024
     名も知らぬ彼らの「計画」を始めて展示させていただいてから、丁度一年が経ちました。この一年は私だけではなく、とても沢山の方が、それぞれの「計画」の変更を余儀なくされた、もしくは断念せざるを得ない、そんな厳しい選択を迫られた一年であったかと想像します。しかし、そんな中でさえ目にする彼らの「計画」は、やはり美しく、力強く、健気で、不変的でした。そして不思議とその立ち居振る舞いに触れる度に、記録者として再びカメラを握る力が湧いてくるのです。  今回の展示も、過去撮りためた記録と、この一年新たに追加した記録とを合わせて12点を選び出しました。彼らにすれば、何を生意気な・・・と鼻(あるかどうかは存じません)で笑われてしまうかもしれませんが、その「計画」に触れ、何かを感じて持ち帰って頂ければ、記録者としてこの上ない喜びとなりましょう。  幸いなことに、こうして再び彼らの記録を展示する機会をいただきました。マスク姿だったにもかかわらず、変わらず私を迎えてくれた彼らと、素晴らしい展示場所を提供して下さった東和銀行様、なによりしばし足を留めて下さった皆様方に心より感謝を申し上げたいと思います。 2020.11.2   

The PLAN of plant 2.5th Chapter

  • #027
     植物たちの姿を彼らの「計画」として記録してきた私の作品展も、驚くことに3回目を迎える事ができました。高校時代初めて黒白写真に触れ、使用するフイルムや印画紙、薬品の種類や温度管理、そして様々な技法によってその仕上がりをコントロールできる黒白写真の面白さに、すっかり憑りつかれてしまいました。現在、フイルムからデジタルへと写真を取り巻く環境が大きく変貌し、必要とされる知識や機材も随分と変化をしましたが、これまでの展示でモノクロームの作品を何の意識もなく選んでいたのは、私自身の黒白写真への情熱に、少しの変化も無かったからではないかと思っています。  しかし、季節の移ろいに伴って変化する葉の緑、宝石箱のように様々な色彩を持った花弁、燃え上がるような紅葉の朱等々、彼らが見せる色とりどりの姿もまた、その「計画」を記録する上で決して無視できない事柄なのです。展示にあたり2.5章という半端な副題を付けたのは、これまでの黒白写真から一変して、カラー写真を展示する事への彼らに対するちょっとした言い訳なのかもしれません。  「今日あっても明日は炉に投げ込まれる野の草さえ、神はこのように装ってくださるのなら、あなたがたには、もっと良くしてくださらないでしょうか。」これはキリスト教の聖書の有名な一節です。とても有名な聖句ですので、聖書を読んだ事の無い方でも、どこかで目にしたことがあるかも知れません。美しく装った彼らの「計画」に、しばし目を留めていただけたなら、これに勝る喜びはありません ※聖書の箇所:マタイの福音書 6章30節【新改訳2017】 2021年11月2日

hana*chrome

  • #012
     「モノクロ映画」・「モノクロテレビ」といった言葉でおなじみの「モノクロ」は、元々は「モノクローム」という言葉の省略形です。単一のという意味の「モノ」と、色彩と言う意味の「クロモス」からなるギリシャ語が語源で、美術・芸術の世界では、青一色やセピア一色など一つの色で表現された作品の事を指して使われますが、「モノクロ」=「白黒」とイメージする事が多いかと思います。日本語で「黒」は「クロ」と発音しますから、事実を知る以前の私などは「モノ黒」だと勘違いをしていたほどです。  さて、私たちは植物の名前を聞いた時、その植物のどの部分を思い浮かべるでしょうか。「欅(けやき)」や「松」の様な樹木の場合は、立派な幹や特徴的な葉の姿を、また「りんご」や「トマト」とくれば、美味しくいただく実の部分を想像することが多いかと思います。では同じように「バラ」や「桜」、「チューリップ」などの名前を耳にした時はどうでしょうか。おそらくほとんどの方がその「花」の姿を思い起こすことと思います。 「花」は植物にとって、種を繋ぎ増やすためにその形、大きさ、色などを大きく変化させる、彼らにとっての特別な瞬間なのですから、「花」がその種を象徴する姿として記憶に留められるのは、とても自然な事なのでしょう。そして、私たちが嬉しさや喜びを伝える時や、人生の節目の象徴、時にはお別れの標として「花」に想いを寄せ、その姿に魅了される事は、綿密に計画された彼らの「PLAN(計画)」なのだと言えるのかもしれません。  3年間に渡り「The PLAN of Plant」として、植物の様々な計画を展示して参りましたが、今年は「hana*chrome」と題して「花」にスポットを当て、その記録を展示させていただきました。もしかしたら「花」の記録にはそぐわない、形と光の濃淡だけで表現された「モノクローム」の世界。ご覧になる皆様それぞれの想い出の色「hana*chrome」をつけてお楽しみいただけたのなら、記録者にとってこの上ない喜びとなりましょう。                              2022.11.1

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