写真展その2.5
無事展示期間を終了いたしました。ご来場いただいた方はもちろんの事、興味を持って下さったすべての方々に感謝申し上げます。本日よりWEB上にて12作品公開させていただきましたので、どうぞごゆっくりお楽しみ下さいませ(2021年12月12日追記)
無事展示期間を終了いたしました。ご来場いただいた方はもちろんの事、興味を持って下さったすべての方々に感謝申し上げます。本日よりWEB上にて12作品公開させていただきましたので、どうぞごゆっくりお楽しみ下さいませ(2021年12月12日追記)
私とZeissとの付き合いを決定づけたレンズが、Distagon35/1.4とこの60mmのMacro-Planarです。
60mmで撮影された写真を初めて目にしたのは、プロカメラマンへの淡い憧れを抱き始めた中学生の頃でした。当時は馴染みのないその焦点距離と、愛用していたNikon製のレンズとのあまりにかけ離れた販売価格、そしてレンズ毎に与えられていた奇妙な呼び名に対して、単純に「疑念」を覚えた事を記憶しています。描写特性などというものは理解どころか興味もなく、ただその摩訶不思議なレンズによって撮影された一枚の写真とその疑念とが記憶の片隅に残っただけでした。
写真を学ぶ大学に入り、多種多様な写真と触れ合う機会に恵まれる中での出来事です。授業中プロジェクターによって投影されたクラスメイトの写真を見たある日、あの過去に見たMacro-Planarの映像が、突如記憶の淵から呼び起されました。聞けばそのクラスメイトのカメラは「CONTAX」だと言うのです。どうやら過去にかけられたZeissの魔法が、長い時間をかけて私を完全に虜にしていたようなのです。以降、機材の大半がデジタルで占められる今となっても、新しいレンズを評価する際は、必ずこのレンズの描写を判断の基準とする癖が抜けないでいるのです。
開放から、いかなる撮影距離でも抜群の結像性能を持ち、かつ他製品とは一線を画くと言ってもよいほどに美しいボケを伴います。絞り込んでも変に堅くならない優れた描特性は、f値を考えなければ常用標準レンズといっても過言ではないでしょう。実際、開放付近では少々クセが残る50mmのプラナーに代わり、私のシステムでの標準レンズを長い間努めていました。また、60mmという焦点距離のため適度に緩和されるパースペクティブは、ポートレートレンズとしても優れた一面を発揮します。
外観の高級感は一級品ですが、非常に大柄で、ピントリングの回転角も大きくなるオリジナルのMacro-Planar。等倍撮影にさえ拘らなければ、小型軽量なCタイプで十二分にMacro-Planarの魅力を感じることが出来るでしょう。
機材の主流がデジタルとなった今では、仕上がりのイメージはほぼ現場で掴むことができます。慣れてしまったこの「当たり前」がフイルム時代は「夢」の一つでした。そんな中、本レンズは現像後に「期待外れ」だった事が非常に少ないレンズでした。むしろ「期待以上」に驚かされることも多かったと記憶します。
前後のボケ味は、溶けたり、滲んだりする感じのないしっかりとしたボケ像を作ります。Cタイプは最大撮影倍率が1/2となりますが、文献やスライド複写をする訳ではありませんので、自分にはピッタリのレンズでした。
麦秋の頃、夕立にも似た突然の降雨が止んだ麦畑で一枚。その場の湿度を伝えるかの様な描写です。
まるでテストチャートみたいな被写体。ボケ像は少し固めな印象を受けますが、前後のボケ方に差が少ないので立体感・遠近感を自然に描写してくれます。周辺まで画質が均一なのも「マクロ」を冠する本レンズの美点です。
解像度は高い筈ですが、描写があまり硬くならないのでポートレートでも重宝しました。適度な遠近感の圧縮があり、もちろん近接撮影能力もあるので高い汎用性をもった「標準」として活躍してくれました。
実物は人の小指ほどの大きさしかないシダ類の若葉。マクロレンズは普通のレンズでは出会えない被写体との邂逅をもたらしてくれます。重量級レンズの多いコンタックスレンズ中で常時携行可能となる軽量な点はCタイプの特権となります。
広角域のレンズは焦点距離1mm当たりの画角変化が大きく、わずか数mmの差によって与えられる映像が驚くほど変化します。それ故に、広角ズームレンズは2倍程度の焦点距離の変化があれば、画角のみでの比較で単焦点レンズ4~5本程度の役割を担うことができます。
しかしながら、焦点距離の短い広角レンズは倍率色収差や歪曲収差を主とした、描写上問題となる各収差の発生や周辺光量の不足を起こしやすいといった問題があるため、ズーム化するには多くの困難が伴います。また、一眼レフにおいては、レンズ後短と結像面の間にミラーが存在するため、バックフォーカスを長く取らなければいけないという、設計上の大きな制約があります。その為に一眼レフ用の広角ズームレンズでは、低分散ガラスや非球面ガラスをはじめとした高額なガラス材を用いたり、周辺光量不足を補いバックフォーカスを長く取る為の設計故、レンズが大型化・高額化する傾向にあります。
発売当初、マイクロフォーサーズ規格におけるパナソニック唯一の広角ズームレンズであった本レンズは、35ミリ判換算で14mmという超広角域までをカバーする特殊レンズながら、バックフォーカスの呪縛から解放されたマイクロフォーサーズシステムの特性を生かし、非常に小柄な筺体を手に入れ、300グラムという驚異的な軽量化を達成しました。また、デジタル専用設計のアドバンテージを生かし、歪曲・色収差・周辺光量の不足といった欠点は画像データー作成時に見事に補正されます。これら新時代の補正技術により、解放から画面全域に渡り滲みの少ないクリアな画像を提供してくれます。F5.6~8あたりですでに解像感は頂点に達し、むしろ絞り過ぎによる回折への注意が必要な様です。
ここまでの広角域を過去に記憶が無いと言っても良いほどの解像度で再現するこのズームレンズは、最前面に保護フィルターの装着が出来ず、またゴーストの抑制に若干の気を使いこそしますが、非常にコストパフォーマンスに優れた、マイクロフォーサーズシステムならではの一本となります。
フルサイズ換算14mmという超広角レンズ。頭上の枝まで写し込む脅威の画角ですので、慣れないうちはどこまで写り込むのか全く見当がつかず、ついつい散漫なフレーミングをしがちになってしまいます。
太陽を画面に入れたフレーミング。「一眼レフ」では眩しさだけではなく目を傷める可能性もある危険な行為。ミラーレス+超広角という事もあって可能になった撮影方法ですが、無論短時間で撮影をすまさなければセンサー部にダメージを残しかねない危険行為には違いありません。しかし高い逆光性能とこの条件下での解像感の高さには驚きました。ローパスフィルター付きのセンサーでも工事現場の安全ネットの網の目がきっちり分解されています。
元々半球形にデザインされたガラス張りの昆虫展示館。画角の広いレンズで撮影すると何とも不思議な映像になります。デジタル補正によって歪曲収差もほぼ感じられませんので、こういった被写体にも安心してカメラを向けられます。
7-14と数値変化以上に画面の変化が大きい超広角ズーム。結局はワイド端側で使ってしまう事が多い気がします。
真上を向くと、超広角ならではの素敵な世界が広がります。意味もなく上を向いてしまう時間が増えるのですが、撮影が終わってPCに画像を取り込むと似たような映像ばかりになってしまい反省することしきりです・・・。
農耕地の液体農薬の貯蔵庫。父の実家周辺は全国的にも有名な葉物野菜の産地ですので、こういった見慣れない建造物が点在しています。建築物の撮影では非常に重宝する焦点距離になります。
強烈なパースとデフォルメが超広角レンズの真骨頂。標識にへばりついて撮影していますが、通行人からしてみたらさぞかし「不審人物」に見えるんでしょうねぇ。
フォーサーズ規格の小型センサーを搭載し、加えてミラーレス構造を採用したマイクロフォーサーズシステム最大の利点といえば、機材システム全体の小型化・軽量化が挙げられるでしょう。使い勝手の面(EVFや背面液晶といった表示用デバイスのサイズや品質、バッテリーサイズの確保、ホールディングバランス)から見ればカメラボディーサイズそれ自体の極端なダウンサイジングはナンセンスですから、その特徴は「レンズの小型・軽量化」にこそ現れると言えます。さらに、レンズの明るさの重要な要素である口径と、画角を左右する物理特性である「焦点距離」は、レンズそのもののサイズ・重量とある程度の比例関係にあるため、望遠レンズにおいてより顕著に表れることになります。
171.5mm・985gという全長・重量は他社製含めフルサイズミラーレス機用の70-200mmの F4クラスのレンズにほぼ近く、近似画角のレンズで比較すれば理論値通りのほぼ半分のサイズ・重量で製品化された本レンズは、2021年3月時点でパナソニック製のマイクロフォーサーズ用レンズ群最長の焦点距離である400mm(35mmフルサイズで800mm相当の画角)をライカお墨付きの品質で実現した「超望遠ズームレンズ」となります。フルサイズでの800mmとなれば、ハチゴローの愛称もある800mm・F5.6が有名ですが、高い設計技術と最新の軽量素材を用いたとしても全長450mm、重量で言えば4kg越えと、よほどの肉体派カメラマンであっても長時間の手持ち撮影は至難の業となりましょう。しかし本レンズは解放 F値6.3と半絞りのハンデこそあれ、画角調整も可能なズームレンズとし、また手持ち撮影も十分可能な小型軽量化を果たしている為に「超」が付く望遠域の撮影を手軽に楽しめるマイクロフォーサーズの恩恵を最大限に生かした製品となっています。また、強力なボディー協調手振れ補正のおかげで、本来であれば被写体を画面内に留めて置くだけでも困難な手持ち撮影も、(多少の訓練は必要ですが・・・)難なくこなせますし、オートフォーカスも静穏・俊敏でストレスなく被写体を捕まえてくれますので、鉄道・野鳥・飛行機・レースなど高速で移動する遠景の被写体を捉える撮影では、代えがたい存在になるでしょう。無論、主題を切り取る風景写真などでも、極端に圧縮されたパースによる望遠効果が生む独特の描写は表現の幅を広げ、スマートフォン等では代替不能な(将来はわかりませんケド)映像を提供してくれるでしょう。
描写特性は300mm程度までは切れ味・コントラス共に優秀で、ボケも比較的素直な印象があります。300mm付近からテレ端では若干のコントラストの低下と解像感の低下が見られ、また二線ボケ傾向がやや強めに感じられるボケ像となります。この特性に関しては、ネット上でも同意見が散見されますが、メーカー公表のMTF値は非常に優秀ですので、超望遠効果による大気圧縮の影響や、微細なブレ、試用した個体の経年変化や個体差の影響も加味して考えないといけないのでしょう。(可能であれば別個体を試用する機会を設け、追記したいと考えます)また、引き出し式の内蔵フードは無いよりマシ程度の残念仕様のため、別途用意されるエクステンションフードはあった方がいいでしょう。取り外しができる三脚座が標準で付属しますが、一部鋭利な造形であるため、手持ち撮影時は「取り外し推奨」と言わざるを得ないほど、肌に食い込むドS仕様なので注意が必要です。(掌に三脚座を載せたい派の方は手の皮を鍛えるか手袋必須)また、初期の製造ロットではズーム作動が渋いと感じる個体もあったようですが、現在この辺りは改善されているという記述も見かけました。(レンズ先端を持って直進ズームとして使えば問題ないという猛者もいらっしゃいましたが)
試用後は欠点の存在を感じる感想を得つつも、何物にも代えがたいスペックと超望遠効果による独特の描写、小型のカメラバックに十分収まるミニマムな外観など、それらを補って余りある特徴を持った本レンズ。被写体と使い方によっては、龍にも馬にもなれるポテンシャルを秘めた飛び道具として、養子に迎える日も遠くないのかもしれません。
夕陽に照らされた廃機関車。望遠効果により圧縮された遠近感描写に、この車体が刻んだ歴史も同時に凝縮されているかの様です。100~20mm付近の描写は先鋭度・質感描写ともに非常に満足度が高いものになります。
足尾銅山のシンボル遺構、旧精錬所の大煙突。空のトーンを出したかったので露出をかなり切り詰めましたが、風雨にさらされ劣化した煙突表面の微細な凹凸をトーン豊かに描き出します。
冬場にこの場所を訪れると、必ず「その者蒼き衣を纏いて、云々」という「あの一説」が頭に浮かびます。川の対岸に広がる枯野ですが、非常に繊細な描写が何ともいえないノスタルジーを誘います。
テレ端の映像。合焦部のピントのエッジはまずまずでしょうか。前後のボケに特徴的な癖がでてきますので、被写体によっては向き不向きを感じるかもしれません。ニコンの500mm反射望遠レンズで得られた映像にも似た傾向があったと記憶します。それにしても、フルサイズ800mm相当となる画角では、ファインダーを覗くまで一体どんな映像になるのか想像するのが難しく、同時にあまりに肉眼とかけ離れた遠近感の圧縮描写に何度も驚かされます。そして、病みつきになります。
流行りの言葉で「オールドレンズ」ライクな写りとでも言えばよいのでしょうか?バキバキのカリカリではないテレ端の描写は、どこかほっこりとした印象を受けます。
逆光の影響もあったのか、やや眠たい映像となりました。天候はほぼ快晴でしたが、時折強風とともに粉雪が舞う中、圧縮効果によって空気中の雪が写り込んだ不思議な映像となりました。
本レンズでのワイド端100mm。先鋭度が非常に高いキレキレな描写です。ノーマル設定のいわゆるJPEG撮って出しですが、学生時代に愛用したエクタクロームE100VSを彷彿とさせる特徴的なブルーの発色を見せてくれました。
西日差し込む変電所の窓。映画のワンシーンの様な印象的な描写です。極端な光線状態でこういった描写を見せられると、所有欲を抑えるのが非常に困難になります。給付金、ワンスモア。
Panasonicのマイクロ4/3規格用交換レンズは、小型軽量で誰にでも親しみやすいデザインと、ポップでカラフルな外装を纏ったボディー群とは裏腹に、販売ターゲットを明確に意識した、どちらかと言えば玄人受けを狙ったものに感じられます。一般ユーザーをターゲットとしたであろう14-45mmと45-200mmの2本を除けば、8mm対角線魚眼・7-14mm超広角ズーム・45mmマクロレンズ・14mm広角単焦点・20mm標準系単焦点と、そのどれもが存在理由を明確に与えられた一本一本となっています。
中でも最も異色を放つ8ミリの対角線魚眼レンズは、形成される特殊な画像故に決して多くの需要は見込めないと思われますが、システムの発表初期の段階から発売が決定していたようで、開発陣・営業サイドともに、このシステムへいかに力を入れていたかが改めて実感できます。事実、非常に描写性能の高い各レンズに倣い、特殊レンズでありながらとてもに端正な結像をします。解放から十分にシャープネスを発揮し、F4あたりからすでに全面に渡って均一な解像性能を有しています。むしろF8で現れはじめる回折を考慮し、あまり絞り込まない方が得策と言えるでしょう。逆光性能も非常に優秀で、フレア・ゴーストともに極わずかで、シャドー部の諧調もしっかりと粘りを見せてくれます。屋外利用では太陽が画面に入り込むケースが多い超広角レンズですから、この性能は大きな武器になります。光学系に採用したEDレンズの恩恵からか、像のデフォルメが大きく発生する周辺部でも醜い色収差は認められず、安心して作画に没頭させてくれるでしょう。
ライブビューで本レンズを構えると、背面液晶に映し出される景色はまるで、異世界への入り口にでも立っているような錯覚を覚えさせ、写真を撮るのを忘れて見とれてしまいます。どうやらライブビューで覗くフィッシュアイレンズの映像は、新しい可能性を感じさせてくれたようです。
建築物など、直線で構成される被写体では本レンズの特性が発揮されます。何を写しても「異質」な印象を与えてしまうため、かえってマンネリ化してしまい易いとも言え、やはり使いこなしも「異質」な能力が必要なのかもしれません。
対角線方向に180度という視覚を超えた画角を持ったレンズですから、実際ファインダーを確認するまで何がどう写るのか想像するのも難しく感じます。駐車場での一コマですが、正面の壁、実際は平面なのにご覧の描写。僅かのカメラの傾きにも神経質になりますね。
超広角レンズですから、屋外使用する際には太陽が画面に入り込むケースが多くなります。ですが逆光耐性は十分に高いと言えますので、偶発的に発生するゴーストに気を付けさえすればクリアでコントラストの高い映像を提供してくれます。
8mmという焦点距離により被写界深度は非常に深く、屋外では多くの条件でパンフォーカスに近い描写になります。合焦とボケの使い分けによる画面構成がほぼ利用できなくなるので、いやでも画面構成力が試されることになります。使いこなすのはなかなか骨が折れますね。

戦争写真家として著名な「ロバート・キャパ」の著書「ちょっとピンボケ」にあやかり、ちょっとどころか随分ピント外れな人生を送る辺境写真人「えるまりぃと」が綴る雑記帳。中の人は大学まで行って学んだ「銀塩写真」が風前の灯になりつつある現在、それでも学んだことを生かしつつカメラ屋勤務中。
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