« 2026年1月 | メイン | 2026年3月 »

2026年2月

Voigtlander NOKTON 42.5mm F0.95

P2210017r

 

 

 レンズの明るさが F1.0、もしくはそれ以上に明るい(F値は小さい)レンズが新たに発売されると、高い確率で「人の眼の明るさ」とか「人の眼より明るい」といった表現をセットで目にします。結果「人間の眼の F値 は 1.0」なのだと反射的に思ってしまう方も多いでしょう。キリの良い数字ですので、むしろ人間の眼を1.0として F値というものが定められているのか?なんて誤解をしてしまう可能性だってあります。実際にはレンズの明るさを表す F値は「焦点距離÷有効口径」によって求められる値ですから、解剖学的に?網膜=撮像面・水晶体=レンズと考えて導き出された数字(おおよそF2.8ぐらい)が、本来の眼の F値という事になります。網膜が捉えた光は、カメラで言うところの色補正やISO感度の調整といった処理を脳内で行い映像情報として認識されますが、つまるところ人間はF2.8のレンズを通して入ってきた光を脳内で8倍増感し(イメージとしてはISO100を800に)、F1.0のレンズを通して入った光と同じ明るさとして受け取っている、が「人の眼の明るさ」の正体だったという話です。「君の瞳は一万ボルトだけど、俺の瞳は Elmarit なんだぜ」とでも言えば昭和のカメラ女子は一コロなんだとか・・・。

 人間の眼の F値の話はそれとして、レンズが明るくなると言う事には大きなメリットが存在してます。同一条件下で暗い(F値が大きい)レンズと比べ「大きなボケを使う事ができる」「早いシャッタースピードが利用できる」「ISO感度を下げる(上げなくてすむ)事ができる=ノイズの発生が抑制される」などが代表的で、これらは表現の幅を広げたり仕上がる映像の品質を上げることができる可能性を意味します。ミラーレス機以前の一眼レフ機では、ファインダー像が明るくなる事でピント合わせやフレーミング時の精度も上がり、撮影時の余分なストレスを軽減するといった効果も期待できますし、撮影途中に感度を自由に変更できないフイルム撮影であれば、レンズの明るさがそもそも撮影の可否を握る場面さえあるでしょう。

 さて、システム全体のダウンサイジングや軽量化といったメリットが望める筆者愛用のマイクロフォーサーズ規格のカメラですが、反面小型であるセンサーに起因する物理特性がデメリットとして現れる場面も存在します。大型センサー機に比べ、同一画角に於いて大きなボケが得にくい点、高感度撮影時におけるノイズ発生量の増加がそれに当りますが、これらに対して、前段で解説した「明るいレンズ」のメリットが有効に作用する事をお分かりいただけると思います。大型化しやすい明るいレンズも小さく軽く設計可能である点を含め、マイクロフォーサーズは、明るいレンズがその存在価値を存分に発揮できるフォーマットであるとも言えるのではないでしょうか。

 かつて世界のカメラ市場に君臨した Voigtlander を、現在自社が展開する交換レンズ群のブランド名として採用する COSINA は、こういった明るいレンズ+マイクロ4/3フォーマットの特性にいち早く着目してか、マイクロ4/3規格の第一弾ミラーレス一眼、 Panasonic DMC-G1登場から二年後には NOKTON 25mm F0.95 を発売しています。以降10.5mmから60mmまで6種全ての単焦点レンズをF1.0を超える明るさでラインナップしましたが、中でも SUPER NOKTON 29mm は、F0.8という写真用レンズとして例を見ない驚異的な明るさを全長88.9mm 重量703gという諸元で達成しています。設計思想も目指す描写のベクトルも別物なのであくまで参考ながら、共に「夜」を想起する語源を持った、フルサイズ用で近似スペックのモンスターレンズ  Nikkor Z58mm F0.95 S Noct の全長は153mm で、かつ重量は2000g!! を誇るのに、です。

 それでは、NOKTON F0.95 ファミリー中、フルサイズ換算で85mmの画角を与えられたNOKTON 42.5mm F0.95 すなわち本項の主人公へ話を移しましょう。標準レンズよりもやや狭い画角を持ち、F0.95 がもたらす豊かなボケが情緒ある空気感と共に被写体を浮かび上がらせるこの一本は、まさにポートレートレンズの王道。焦点距離をあえてキリの良い43や45とせず、42.5を採用した設計者にはやはり「85mm」への強いこだわりがあったのだろうと思います。被写体認識AFによって瞬時に瞳への合焦を決める同一焦点距離の Panasonic NOCTICRON と違い、優れた操作感をもったピントリングの前後によってじっくりピント面を追い込んで行く作業は、懐かしさと同時に写真撮影の楽しさを再認識させてくれます。マイクロフォーサーズ規格準拠とは言え、電子接点を持たずにデジタル補正をアテにしない姿勢にも素直に敬意を払います。最短撮影距離は、システムとしての長所を生かし0.23mを達成。なんと1/4倍での接写を可能にし、浅い被写界深度を生かした近距離撮影では最短0.5mのNOCTICRONに対し若干ですがアドバンテージを発揮します。高コントラスト・高解像度を売りにする現代のデジタル専用レンズの中においては、異質ともとれる緩さを持った独特な解放描写はNOKTON 25mm 試用の際に感じたイメージと共通する心地の良い物となりました。全長約75cm・重量571g・フィルター径58mmの躯体は上着のポケットにすっぽりと入る程。視野の狭くなった近年ではお気に入りの画角ですから、文字通りの「味変」に味を占めて店舗のストックにすんなりと戻せない自分を許したいと思います。

 

 

P1031855

ハイスピードレンズといえば、やっぱりアベイラブルライト下での撮影が似合います。すっかり日の落ちた繁華街での一枚。開放描写ですが、F0.95という極めて明るいレンズながら、前後のとても素直なボケ像には好感が持てます。正直もっとイカレタ画像を想像していただけに嬉しい誤算。ピント面はカリカリにシャープな結像をするタイプではないようですが、こういった被写体にはジャストマッチ。周辺光量の落ち方も自然で品の良い物です。

 

P1031878

開放時は特に感じるのですが、収差の影響からか、合焦面から外れた部分は思った以上に像が滲んで写る印象があります。結果として被写界深度は数値感覚以上に薄くなっている印象です。EVF+マニュアルフォーカスでこの極薄ピントピークを操るのは至難の業ではありますが、ボケの中にスッキリと合焦部が浮かび上がってくるような描写はクセになります。

 

P1031765

搬出作業でごった返すイベントホールのトラックヤード。中望遠ならではの遠近感圧縮や切り抜きによる画面整理で、映像に凝縮感が漂うのがこの辺りの画角レンズを好む理由。感度やコントラストを上げて画面に迫力を出す手法もありますが、せっかくのハイスピードレンズなので標準感度のままシャドー部のトーン変化を楽しみます。一見オールドレンズのような柔らかなコントラスト描写ではありますが、ディープシャドーが曖昧にならないのは、良好なフレアコントロールのおかげでしょうか。

 

P1031799

派手にゴーストが出るかと思いきや、スッキリと写って拍子抜け。開放時は特にオールドレンズ的な味わいを持った緩い描写のレンズではありますが、強い光源であっても上手にいなしてくれる辺りは、やはり最新のレンズなのだと再認識。

 

P1031868

F1.2や1.0さらに0.95といった極端に明るいレンズはフイルム時代から存在していましたが、開放時の画質やボケ味といった部分まで考えると、率先して使いたくなるレンズかどうかは疑問符が付き纏うのも本音。本レンズは0.95という最高レベルの明るいレンズですが、解放を積極的に使いたくなる一本と感じています。それにしても F1.0と F0.95のEV値上の差は、おおよそ1/6段程。感度が比較的自由になるデジタル時代にこの差を削ってくる設計者の魂、ナイスですねぇ。

 

 

 

SONY Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA (SEL35F14Z)

Pa070063

 

 

 Aマウント時代のSONY製デジタル一眼レフには、24mm F2 ・ 85mm F1.4 ・135mm F1.8 と3本のZeiss製大口径単焦点レンズが用意されていました。フルサイズミラーレスα7の登場によりモデルチェンジも当然予想された訳ですが、ボディーの登場に合わせて登場したZeiss製の単焦点レンズは FE 55 mm F1.8および FE 35mm F2.8 でした。新システムへの移行初期ですから、市場で高い訴求力を発揮する高性能・高倍率ズームレンズや廉価製品に率先して開発リソースを割かねばならならないのも道理。本レンズ、Distagon T* FE 35mm F1.4 ZAのような趣味性の高い大口径単焦点レンズが登場するのには、指折り3年の月日を要しました。翌年に Planar T* FE 50mm F1.4 ZA も発売となるのですが、意外なことに頭書の 24・85・135 の3レンズはZeiss製レンズとしてではなく、24mm F1.4GM ・ 85mm F1.4GM ・ 135mm F1.8GM と 純正 G Masterとして刷新されました。メーカー内でのブランディングや販売戦略に関しては、単なる一消費者に過ぎない辺境中古カメラ店員にその真意は計りかねますが、Aマウント時代に存在した35mm と 50mmの F1.4レンズは共にフイルム時代に設計の端を発する、言わばセミオールドレンズでしたから、完全なる新設計であることを分かり易く伝える為「Zeiss」という看板の影響力に頼ったという側面があったのかもしれません。

 ところで、Zeiss の35mm F1.4と言えば、フイルム時代にヤシカ・コンタックスマウント用に供給された、Distagon 35mm F1.4 を思い起こす方も相当数おられるかと思います。かく言う私も、大学卒業後に現職場とブライダルの出張撮影で二足のワラジを履く中、メイン機材の、それもほぼ標準レンズとして愛用していたのがそのレンズでありました。高い逆光耐性、解放からの実用的な解像度、若干の癖を感じる事はあっても大きく破綻をしないボケ像が得られる万能優等性であり、なによりデジタル機材の様に安易な感度変更を行えないフイルム撮影ではF1.4 の明るさは何物にも代えがたく、手振れ補正の恩恵も受けられない時代に幾度も助けられた事を思い出します。ですからデジタル時代となって、Distagon 35 1.4 T* の刻印をAF化という強力なオマケを付けて再び手にできるというこの事実は、体内のあらゆる液体の栓が緩くなり始めたお年頃の筆者にとっては、いったい幾晩枕を濡らしたらよいのやら・・・と思うほどの吉報だったのです。

 加えてDistagon T* FE 35mm F1.4 ZA に関しては、後にとても数奇な運命が待っているのですが、それは同一スペックの純正レンズ FE 35mm F1.4 GMの登場によってもたらされます。ボディー性能が爆発的スピードで進歩する昨今は、レンズ側においてもボディー側の各種演算スピードへの対応や、AF、絞り作動といった機械動作の高速化、動画撮影への対応強化などが求められる事態にもなっているのですが、シリーズの比較的初期段階で投入されたこのDistagonも例外ではなかったのでしょう。発売開始から6年後の2021年にバトンを渡した後進は、約100gの軽量化、最短撮影距離3cmの短縮、フィルター径含めたレンズ全体の小型化を果たしただけでなく、公表MTFからも明らかなる高画質化が窺える仕様を達成していました。さらにこの新レンズは当初198,530円(税別)という希望小売価格を設定(2026年現在は216,000円)しており、これはDistagonの価格(220,000円)を下回る、まさに下克上を絵に描いたような登場でした。

 当然、誰もがDistagonに引退の二文字を意識した訳ですが、ここでSONYによるDistagonの価格改定(すなわち販売継続)が発表され、我々は2度驚かされることになりました。Distagonの希望小売価格は140,080円(2026年現在は164,000円)へと、なんと8万円近くも値下げが行われたのです。意味の乏しい比較ではありますが、ヤシカ・コンタックス時代のDistagonの販売終了時の価格168,000円より、さらに安価に最新のDistagonが手に入るようになったのです。それとなく大人の事情も見え隠れしますが、SONY曰くの「ソニーEマウントレンズにおける広角単焦点域のラインアップ拡充に伴う価格ポジションの見直し」を額面通りに受け取るとすれば、最高画質を求める方は「G Master」を、「Zeiss」が安価に入手できる事に意味を見いだせる方はDistagonを、といった落し処なのでしょう。いずれにしても35mm F1.4 に選択肢が増えた事を素直に喜んでおくのが、きっと幸せなのかもしれません。

 

 

Dsc05627

準広角レンズといってもやはり解放 F1.4の被写界深度の浅さはあなどれませんね。なんとなく合焦範囲が広がっていると思いきや、キリッと解像しているのは極一部分のみです。かなり暗い日陰での撮影ですが、解放からしっかりとコントラストが立ち上がる描写です。僅かの周辺減光や四隅でやや像の流れが見られますが、大きな欠点とは感じないレベルでしょうか。
 

Dsc05526

フィルム時代のDistagonは、フローティング機構の影響なのか近接時に二線ボケがやや目立ったと記憶しています。ミラーレス化への対応を果たした本レンズは、いじわるな被写体であっても破綻を感じさせないボケ味へと進化。これなら近接でも安心して絞りを開けられそうですね。
 

Dsc05581

縮小画像ではお伝えきれませんが、木漏れ日の当ったハイライト部の煌めきが非常に美しい一枚。僅か残った収差の影響か、輝度の高い部分のみにうっすらと発生するハロがその場の空気感を増幅して捉えます。

 

Dsc_0111

曇天の夕刻、寺の片隅にあった清掃用具置き場。年季の入った道具達が見事なバランスで配置されているのに感心して一枚。実際はかなり暗い状況でしたがボディー内手振れ補正の力を借りて事なきを得ました。Z5Ⅱのフォールディングバランスが良い事もありますが、作動ブレを起こしにくいミラーレス構造+電子シャッターの恩恵も計り知れません。

 

Dsc_0087

Lightroomのレンズプロファイルを利用した歪曲補正を行っていますので、画面上部に感じる糸巻き収差状の湾曲は、おそらく被写体自身の経年による変形かと。フルサイズでの35mm画角は、テーブルフォトなどにも好適。意地の悪い被写体でなければ、ご覧の通り近接能時にもボケ味含めて極めて優秀な活躍。お世辞にもスマートな機材では無いので、飲食店ではバックにしまっておいた方が良とは思いますが。

 

Dsc_0072

開放時のボケ像には多少グルグルとした印象もありまが、細かな被写体をボカしても極端に乱れていないのは、35mmという焦点距離で考えれば優秀と言って良いでしょう。鉄道好きは、こういった写真をネタに5分でも10分でも話せたりしちゃうのが不思議。私は違いますよ。

 

Dsc_0115

上の清掃用具を撮影した同じ場所に干してあったタオル。とても几帳面な方が管理されているのだなぁと感心してしまいました。まさか見知らぬ他人のネット上で紹介されているとは想像もしていないと思いますが、だからこそ人目に付かない部分でも手を抜かないその姿勢を見習いたいと感じてしまいました。まだ湿気の残った印象の繊維の質感、いいですね。

 

Dsc05548

少し絞るだけで、画面全域が隙を感じない良像域で満たされます。雨滴が作る波紋が、好みのバランスで写り込むタイミングを狙っての撮影です。同じ場所で結構な時間を費やしていましたが、価格高騰が続くフイルムでは真似のできない撮影になってしまいました。そういえば、なにやらメモリーカードも高騰しはじめてるとか。(2025~2026年、一部半導体の高騰が影響)

 

Dsc05646

レンズの性能かフルサイズセンサーの恩恵か、豊富なシャドーの諧調あっての被写体と言えるでしょう。植物から放たれた湿気や酸素まで写り込み、その場の匂いも思い出せるような映像となりました。被写体はしばしば訪れるガーデンの雑木林。G Master を借用する機会があったら、ぜひとも同じ場所で試してみたいと思っています。

 

 

プロフィール

フォトアルバム

世界的に有名な写真家「ロバート・キャパ」の著書「ちょっとピンボケ」にあやかり、ちょっとどころか随分ピント外れな人生を送る不惑の田舎人「えるまりぃと」が綴る雑記帳。中の人は大学まで行って学んだ「銀塩写真」が風前の灯になりつつある現在、それでも学んだことを生かしつつカメラ屋勤務中。

The PLAN of plant

  • #12
     文化や人、またその生き様などが一つ所にしっかりと定着する様を表す「根を下ろす」という言葉があるように、彼らのほとんどは、一度根を張った場所から自らの力で移動することがないことを我々は知っています。      動物の様により良い環境を求めて移動したり、外敵を大声で威嚇したり、様々な災害から走って逃げたりすることももちろんありません。我々の勝手な視点で考えると、それは生命の基本原則である「保身」や「種の存続」にとってずいぶんと不利な立場に置かれているかのように思えます。しかし彼らは黙って弱い立場に置かれているだけなのでしょうか?それならばなぜ、簡単に滅んでしまわないのでしょうか?  お恥ずかしい話ですが、私はここに紹介する彼らの「名前」をほとんど知りませんし、興味すらないというのが本音なのです。ところが、彼らの佇まいから「可憐さ」「逞しさ」「儚さ」「不気味さ」「美しさ」「狡猾さ」そして時には「美味しそう」などといった様々な感情を受け取ったとき、レンズを向けずにはいられないのです。     思い返しても植物を撮影しようなどと、意気込んでカメラを持ち出した事はほとんどないはずの私ですが、手元には、いつしか膨大な数の彼らの記録が残されています。ひょっとしたら、彼らの姿を記録する行為が、突き詰めれば彼らに対して何らかの感情を抱いてしまう事そのものが、最初から彼らの「計画」だったのかもしれません。                                 幸いここに、私が記録した彼らの「計画」の一端を展示させていただく機会を得ました。しばし足を留めてくださいましたら、今度会ったとき彼らに自慢の一つもしてやろう・・・そんなふうにも思うのです。           2019.11.1

The PLAN of plant 2nd Chapter

  • #024
     名も知らぬ彼らの「計画」を始めて展示させていただいてから、丁度一年が経ちました。この一年は私だけではなく、とても沢山の方が、それぞれの「計画」の変更を余儀なくされた、もしくは断念せざるを得ない、そんな厳しい選択を迫られた一年であったかと想像します。しかし、そんな中でさえ目にする彼らの「計画」は、やはり美しく、力強く、健気で、不変的でした。そして不思議とその立ち居振る舞いに触れる度に、記録者として再びカメラを握る力が湧いてくるのです。  今回の展示も、過去撮りためた記録と、この一年新たに追加した記録とを合わせて12点を選び出しました。彼らにすれば、何を生意気な・・・と鼻(あるかどうかは存じません)で笑われてしまうかもしれませんが、その「計画」に触れ、何かを感じて持ち帰って頂ければ、記録者としてこの上ない喜びとなりましょう。  幸いなことに、こうして再び彼らの記録を展示する機会をいただきました。マスク姿だったにもかかわらず、変わらず私を迎えてくれた彼らと、素晴らしい展示場所を提供して下さった東和銀行様、なによりしばし足を留めて下さった皆様方に心より感謝を申し上げたいと思います。 2020.11.2   

The PLAN of plant 2.5th Chapter

  • #027
     植物たちの姿を彼らの「計画」として記録してきた私の作品展も、驚くことに3回目を迎える事ができました。高校時代初めて黒白写真に触れ、使用するフイルムや印画紙、薬品の種類や温度管理、そして様々な技法によってその仕上がりをコントロールできる黒白写真の面白さに、すっかり憑りつかれてしまいました。現在、フイルムからデジタルへと写真を取り巻く環境が大きく変貌し、必要とされる知識や機材も随分と変化をしましたが、これまでの展示でモノクロームの作品を何の意識もなく選んでいたのは、私自身の黒白写真への情熱に、少しの変化も無かったからではないかと思っています。  しかし、季節の移ろいに伴って変化する葉の緑、宝石箱のように様々な色彩を持った花弁、燃え上がるような紅葉の朱等々、彼らが見せる色とりどりの姿もまた、その「計画」を記録する上で決して無視できない事柄なのです。展示にあたり2.5章という半端な副題を付けたのは、これまでの黒白写真から一変して、カラー写真を展示する事への彼らに対するちょっとした言い訳なのかもしれません。  「今日あっても明日は炉に投げ込まれる野の草さえ、神はこのように装ってくださるのなら、あなたがたには、もっと良くしてくださらないでしょうか。」これはキリスト教の聖書の有名な一節です。とても有名な聖句ですので、聖書を読んだ事の無い方でも、どこかで目にしたことがあるかも知れません。美しく装った彼らの「計画」に、しばし目を留めていただけたなら、これに勝る喜びはありません ※聖書の箇所:マタイの福音書 6章30節【新改訳2017】 2021年11月2日

hana*chrome

  • #012
     「モノクロ映画」・「モノクロテレビ」といった言葉でおなじみの「モノクロ」は、元々は「モノクローム」という言葉の省略形です。単一のという意味の「モノ」と、色彩と言う意味の「クロモス」からなるギリシャ語が語源で、美術・芸術の世界では、青一色やセピア一色など一つの色で表現された作品の事を指して使われますが、「モノクロ」=「白黒」とイメージする事が多いかと思います。日本語で「黒」は「クロ」と発音しますから、事実を知る以前の私などは「モノ黒」だと勘違いをしていたほどです。  さて、私たちは植物の名前を聞いた時、その植物のどの部分を思い浮かべるでしょうか。「欅(けやき)」や「松」の様な樹木の場合は、立派な幹や特徴的な葉の姿を、また「りんご」や「トマト」とくれば、美味しくいただく実の部分を想像することが多いかと思います。では同じように「バラ」や「桜」、「チューリップ」などの名前を耳にした時はどうでしょうか。おそらくほとんどの方がその「花」の姿を思い起こすことと思います。 「花」は植物にとって、種を繋ぎ増やすためにその形、大きさ、色などを大きく変化させる、彼らにとっての特別な瞬間なのですから、「花」がその種を象徴する姿として記憶に留められるのは、とても自然な事なのでしょう。そして、私たちが嬉しさや喜びを伝える時や、人生の節目の象徴、時にはお別れの標として「花」に想いを寄せ、その姿に魅了される事は、綿密に計画された彼らの「PLAN(計画)」なのだと言えるのかもしれません。  3年間に渡り「The PLAN of Plant」として、植物の様々な計画を展示して参りましたが、今年は「hana*chrome」と題して「花」にスポットを当て、その記録を展示させていただきました。もしかしたら「花」の記録にはそぐわない、形と光の濃淡だけで表現された「モノクローム」の世界。ご覧になる皆様それぞれの想い出の色「hana*chrome」をつけてお楽しみいただけたのなら、記録者にとってこの上ない喜びとなりましょう。                              2022.11.1

PR



  • デル株式会社



    デル株式会社

    ウイルスバスター公式トレンドマイクロ・オンラインショップ

    EIZOロゴ