Zeiss Distagon 25mm f2.8 ZF
大学時代に愛用していたNikonからCONTAXへと、手持ちの機材を全て変更したのは、 ブライダルのカメラマンとしての仕事をしていた当時、職場の先輩の写真を目にした事がきっかけでした。
それほどまでにZeissレンズの描写との出会いは鮮烈でした。反面、その後度重なり仕事中のボディートラブルに泣かされることとなり、やがて、叶わない願いとは知りつつ、 NikonのボディーでZeissのレンズを使用することが、ある種の夢となっていました。
カメラマンとしての活動を辞め、現在の仕事についてから早十年以上。京セラのカメラ事業撤退から数年たったある日、夢は突如現実となりました。 コシナによるZeissレンズの再生産とNikon-Fマウント化。何の因果か・・・新生Zeissの25mmをテストする機会に恵まれたのは、親類のブライダル撮影でした。
一生一度、妹の大舞台でのレンズ「試用」。プロフェッショナルの現場では考えられない奇行を可能にしたのは、私自身のZeissというメーカーへの、そしてDistagonというブランドへの圧倒的な信頼にほかなりません。 Y/C時代から受け継がれる、ディープシャドーからハイライトまで、きわめてなだらかにつながる トーンの描写がもたらす、画面全体にわたる重厚感。そして画面中心部から周辺まで続く、隙のない解像感の高さ。冬の澄んだ空から差し込む強烈な西日を物ともしない逆光性能。これらを高次元でリファインし、新たなDistagon25ミリへと昇華させた、メーカーの信念と技術力には脱帽せざるをえないでしょう。
21世紀、新たに蘇ったZeissのDNAは、妹の門出に最高の一枚をプレゼントしてくれました。
西日が射し込み強烈な逆光ですが、ゴースト・フレア共に最小限。シャドーまで綺麗に諧調が繋がり、ドレスの質感も見事です。デジタルカメラと違い、現像するまで結果の分からないフイルム撮影でしたが、期待を裏切らない結果に一安心。
リハーサルで式場への入場タイミングを確認する新婦。テラスのガラス面に写り込んだ空が新婦の所だけ青空になってくれた奇跡で、ドレスと被ることがなく撮影ができました。今回の撮影での一番のお気に入りショットはこの25mmが届けてくれました。
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