Lumix G 20mm f1.7 ASPH
その役割を販売戦略的に見れば、非常に重要な標準キットレンズ。そして、顧客ニーズの最大公約数を狙ったであろうズームレンズセットが、その販売の主流を担うデジタル一眼市場において、異端とも思われる単焦点レンズのキット化には、メーカーの確かな自信が垣間見えます。
その自信を確かに裏付ける、35ミリフルサイズ換算で約40ミリとなる焦点距離のこの標準レンズは、丸みを帯びつつも十分にシャープな開放f値1.7の描写と、絞り込んだ際の解像感の非常に高い引き締まった画質ともに素晴らしく、明らかに同価格帯のズームレンズとは一線を画していると言えます。
「誰でも」「簡単に」「綺麗な写真」が撮れることは、デジタル時代におけるカメラ・レンズ開発の1つの指標ではあるのでしょう。でもこのレンズには、
「もうちょっと工夫すれば、きっともっとイイ写真になるよ」
といった「やる気」を起こさせてくれる、そんなアナログ時代のエッセンスが隠されているようです。パナソニックとの技術提携をしているライカ社往年の名機「ライカCL」の標準レンズとして、ズミクロンの40ミリが付属していた事を思い出せば、なるほど、このレンズには確かにサラブレッドの血が流れていてもおかしくはないようです。
余談になりますが、巷ではこういった薄型のレンズを昨今「パンケーキレンズ」と呼称していますが、なんとも似つかわしくない「あだ名」を与えられたものだと、この新時代の高性能標準レンズに、わずかばかりの同情を覚えてしまう自分を発見するのです。
首都高走行中(もちろん助手席ですよ)車内から撮影。フイルム歴が長い自分は、仕上がりをイメージしやすくする狙いもあってホワイトバランスは基本太陽光に固定しています。その為人口光源ではご覧の通り肉眼で感じる以上に独特の発色をします。オートホワイトバランスではもっとニュートラルな発色になるのでしょうが、写真の楽しみ方としては「太陽光」がしっくりきます。古い人間の証、なのでしょうか?
有難いことにマイクロ4/3初期のボディーであるGF1でさえ、アスペクト比が選択可能でした。もちろんクロップがかかりますがアスペクト比1:1で撮影できるので、ハッセルで馴染んだスクエアが簡単に楽しめます。画素的には不利なのでしょうが、割り切れば案外十分と感じられます。
自宅付近には過去に木工業で栄えた工業団地があります。取り壊す直前の工場跡はお気に入りの撮影スポットだったのですが、現在は新しい別の会社がたくさん入り風景が一変してしまいました。現在はモダンな美しい建物が多く建っていますが、写欲をまったく誘わないのには困ったものです。
35mmフルサイズ換算での40ミリ。ライカCL系のユーザー以外にはあまり馴染みのない画角となりますが、開けても絞ってもとても優秀なレンズです。最初にこのレンズを購入しなかったら、もしかしたらマイクロ4/3のシステムを組んでいなかったかもしれません。
夕闇が迫り、塒(ねぐら)へと急ぐ鳥の群れ。けたたましい鳴き声に、ちょっとした恐怖を覚えながらの撮影でした。連写をしつつ画面バランスを考えてチョイス。高速連写+結果確認で画面バランスを見ながらリテイクを重ねられるのはデジタルならではのメリットでしょう。
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