CONTAX Tele-Tessar 200mm f4 AE-G
近い焦点距離に復刻オリンピアゾナーでもある名高いSonnar180mmf2.8を控え、Vario-Sonnar80-200mmf4という強力なズームレンズのライバルの出現以来すっかりと出番を無くし、雑誌などでも過去にあまり紹介された記事を見たことがない200mm。販売期間の短さも手伝って中古カメラ店でもその姿を希にしか見ることができないTele-Tessar200mmは、描写性能追求のため一般的に大型化、重量増加しがちなZeissレンズラインナップ中Sonnar85mmなどと並び小型軽量の部類に入ります。
その構成枚数の少ない無理のない設計のためか、非常にクリア且大変に艶のあるい色ノリの画像を提供し、「開放F値の暗い=廉価版」というイメージは一切漂わせません。開放から切れ味の鋭い描写がウリのSonnar180mmとは違い、開放絞り付近では丸み、暖かみを帯びた絶妙な描写をします。望遠レンズ特有の大きなボケもガサついたところが無く、深度の浅い合焦部を美しく引き立てます。
ズームレンズとはいえ非常に優秀な結像性能を誇る80-200mmと比較し、コストパフォーマンスで見劣りこそしますが、手放した過去の自分に少々の後悔を覚えます。ISO感度を自由に操れるデジタルカメラにおいては、f値一段分よりも、その小型・軽量な鏡筒が大きな武器となるでしょう。Sonnar85mmやDistagon35/2.8とともに、Zeissのスモールレンズが脚光を浴びる時代がやってきたのかもしれません。
200mm相当の画角は標準ズームに内包されていることも多い昨今ですが、自分が写真を始めた当初は憧れの焦点距離の一つでした。単焦点の200mmは、肉眼では想像が難しい世界が突然ファインダーに出現するので、ズームレンズの200mmとは少々違った印象があります。構成もシンプルで小型・軽量なレンズですから長時間手持ちで覗いていても疲れません。
「鷹の目」とも称されたオリジナルTessarの子孫らしいシャープな結像です。手の届かない遠景をシャープに切り取るのが望遠レンズの真骨頂。
絞りを開けると丸みのある艶っぽい描写に。ボケ像も柔らかく、色のノリが良いのでこういった被写体にも絶妙にマッチします。しかしながら、最短撮影距離は決して短くはない1.5メートルと、同じくコンタックスのVario-Sonnar 80-200mmの1メートルと比べてなんとも微妙です。でも、この写り方、好きなんですよね。
今風に言えばオールドレンズらしいという言葉になるのでしょう。今となってはズームレンズでさえ、もっとキレ味の鋭いレンズに沢山お目にかかりますが、なんとも癒されるこの描写にやはり捨てがたい魅力を感じてしまいます。
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