CONTAX Macro Planar 100mm f2.8 AE-J
このレンズの購入前には、名高い60ミリのマクロを所有していたものですから、 当初は購入の候補にすら入っていなかった100ミリのマクロプラナー。
依頼された撮影でどうしても中望遠が必要となり、勤め先の売り物を借用したのですが、その個体をそのまま買い上げてしまったほどに、その描写性能には驚愕しました。
開放から完全に実用になるか、もしくは開放の描写に何かしらの代え難い魅力を感じるか・・・ それが、私個人のレンズ購入時の大きな選択理由となるのですが、マクロの名に恥じず開放から完全に実用となる画面全域の均一な精密描写、しかも、アウトフォーカス部分は、まるで溶けるようなマクロレンズらしからぬ描写を見せ 背景にハイライトを含む線状の物体があっても2線ボケとは無縁。色のヌケやカラーバランスも最高で、私が過去に抱いたマクロレンズに対しての悪いイメージを 一気に払拭してくれました。
等倍撮影時の異様なまでの鏡筒の繰り出し量にはやや 閉口するものの、60ミリとはまた違った魅力を放つZeissの傑作レンズです。
60mmと比較して大きなボケが得られるのは望遠マクロの大きな利点。ボケ像の質も60mmより柔らかい印象がありました。ワーキングディスタンスも長く撮れるので、山野草などの撮影には非常に重宝します。ブレ防止にはすこしばかり神経質になりますが・・・。
透過する光に浮き立つ水芭蕉。足元は湿原ですからこんな時も望遠マクロの出番です。60mmと比較して大柄で重量もそれなりですが、どちらか1本を、と考えると100mmの方が有力候補になるでしょうか。
中景~遠景でもシャープネスを存分に発揮してくれるので、こんな被写体もお手の物。周辺まで破綻の無い描写はさすがのマクロプラナーといったところでしょうか。
前後のボケ像が極めて均質なのも本レンズの美点。マクロ域での被写界深度は相当シビアになりますが前後共にボケ像が邪魔になる事はなく、合焦部を美しく引き立ててくれます。
当然、遠景を切り取るのも当レンズの出番。CONTAXには同じく100mmにf2のプラナーも存在しますが、最短撮影距離の短さで当レンズのメリットが勝り、私の周りにも85mmプラナーと100mmマクロプラナーの二刀流に落ち着くユーザーが多かった印象があります。
前後のボケ像の美しさがとても良く伝わる1枚ではないかと。フォーカスヘリコイドはマクロ撮影での利便性を考慮してどちらかと言えば重めの操作感で、かつ作動範囲も余裕があるため俊敏なピント合わせは苦手になります。このボケ味をポーレートで・・・・とも思いましたが、マニュアルフォーカスではなかなかの苦行となるので覚悟が必要です。
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