2016年4月10日 (日)

SIGMA Art 60mm f2.8 DN

 

 一度抱いてしまったイメージを後から変えるのはなかなか難しいと、齢をそれなりに重ねてきた最近ではよく思います。SIGMAというメーカの製品に対しても、実はこのレンズに出会うまでの印象というのは、「ちょっと変わった焦点距離」「メーカ純正比較でちょっぴり明るいレンズ」「異様なまでに倍率の高いズームレンズ」「廉価な製品が多い」そして、「写りの質は・・・・」といった様なものでした。あくまで主観の占める割合が多いかと思いますが、フイルム時代から同社の製品を知っているカメラユーザーに、同様の印象を持たれる方は少なくないのではないか、とも思っています。

 しかし、純正品への拘りが強いいユーザーが多いカメラ市場において、サードパーティー製品が、カメラメーカー純正品と肩を並べて商売をするには製品に絶対的な特長を持たせる必要があり、そういった背景から「すこし無理をした(性能的・価格的・特徴的)製品」が多かったのは、仕方のないことだったのかもしれません。

 さて、ミラーレス一眼が登場し、古今東西のレンズがレンズマウント規格(主にフランジバック・バックフォーカス)という制約を受けずに利用できるようになった現在、過去に例をみないほど「レンズ」に注目が集まっています。併せて、イメージセンサーの高精細化が進むにつれ、レンズの描写性能向上もより高いものが望まれるようになっています。

 そして、それを意識してのことなのでしょうか、SIGMAから「Art」と呼ばれる製品群が登場しました。

曰く「圧倒的な光学性能の実現と芸術的表現の追求を同時に叶える」

とするこの製品群は、驚くことに、純正品にも存在するありふれた焦点距離や解放f値の製品が多く、さらに設定売価が純正品を超えているものも存在するなど、これまでのサードパーティー製品の概念を大きく覆すものとなっています。

 この60mmにしても、焦点距離こそなじみの少ないものですが、解放f値がf2.8と、あえて今単焦点レンズとして発売するにはあまりに平凡なスペックとなっています。しかし控え目な明るさがもたらすレンズの軽さはフットワークを損ねず画質的にも有利に働き、またAPS-Cサイズのセンサーを補う十分なイメージサークルは、マイクロフォーサーズサイズのセンサーではさらに中央部の極上な映像のみを切り取って利用できます。このよく写ることが当たり前のスペックを、あえてサードパーティーが販売するとは、これはこれでなんと挑戦的な姿勢でしょう。

 記録ではなく記憶に・・・・なんだか使い古された言葉かもしれませんが、スペックに現れない性能が、モニター上には確かに現れる。選択肢として「Art」シリーズは「アリ」なのか?と、不惑を迎えての新たな惑いを抱かずにはいられないのです。

 

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2015年10月28日 (水)

Leica DG Summilux 25/1.4 ASPH


 

 フイルムカメラ時代、とりわけズームレンズが廉売されるようになるまで、カメラ購入時にセット販売されていたのは、「標準」レンズの代表格であった解放f値1.4クラスの50㎜レンズでした。誰もがこの画角で写真をスタートする、それが当たり前の時代でした。

 しかし、固定された画角ではズームレンズの様にフレーミングを自在に操ることは難しく、また、同じ画角は標準ズームにも内包されていますから、廉売される高倍率ズームレンズが、「標準」レンズの座を確固たものにした現在では、この種のレンズの存在理由に気が付くには、それなりの経験を積む必要があるのでしょう。昨今、本レンズを初めとして、35ミリフルフレームでの50mmレンズの画角を有する単焦点レンズが、一種の特殊レンズとしてのポジションを与えられてるのは、ある種、当たり前の流れなのかもしれません。

 では、そういった時代背景の中、なぜいまだに多くのメーカーがこの旧世代の「標準レンズ」を作り続けているのでしょうか。しかも最近では、過去には想像もできなかった高額商品をラインに加えるメーカーさえあります。その答えの一つは、何といってもその「明るさ」でしょう。ズームレンズ比で2~3絞り程度余裕のある解放値は、多くの場面でシャッター速度の束縛から表現者を解き放ってくれますし、解放付近での浅い被写界深度を利用すれば、ズームレンズでは到底真似ができない表現を手にすることができます。また解放での描写性能に拘りをもった製品が多く存在しているのも、近年では大きな特徴となっています。Panasonicが、マイクロフォーサーズシステムにおいて、25ミリというレンズにあえて「SUMMILUX」の名を冠したLeicaブランドのレンズをラインナップしているのも、一種のメッセージと受け取れるでしょう。

 「SUMMILUX」といえば、フイルム時代では解放f値1.4を与えられた「至高のレンズ群」ですが、本レンズは光学系は全くの新設計ながら、そのエスプリを十分に引き継いだ、やはり「究極のレンズ」となりましょう。解放から中心部の解像度は高く、前後のボケは非常に自然で美しく、本レンズ最大の魅力です。周辺画質・光量はそれなりに落ち込みますが破綻はなく、「味」と言い切れる程度です。f2.8あたりから全画面で均質な高解像描写となり、f8程度がピークです。色のノリもよく重厚な表現に向く本レンズは、記録することよりも、むしろ表現することに狙いを定めた場合、撮影者の有効な懐刀となるに違いありません。

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2014年11月26日 (水)

Leica DG Summilux 15/1.7 ASPH

 マイクロ4/3フォーマットのカメラにおいて、35ミリフルサイズでの焦点距離30mmの画角に相当する15mm。

 この画角に合致するレンズを記憶の中に探すと、ペンタックス製の30mm以外には思い当たる物がありません。また既にパナソニックからは、明るさこそ控え目ながら14mmという近似焦点距離のレンズが存在しているにも関わらず、この「微妙」な焦点距離のレンズをあえてLeicaブランドで製品化したのは何故なのでしょうか?

 さらにこのレンズは精密感の溢れる金属製鏡筒の採用と、これまでのマイクロ4/3用パナソニックレンズには存在しなかった絞り操作リングや、マクロレンズ同様のAF-MF切り替えスイッチを搭載するなど、とても多くの特徴を備えています。あえてコストをかけてまで、これらの仕掛けをこのレンズに詰め込んだ理由とはいったい何なのでしょうか?

 「馬には乗ってみよ」とばかりに本レンズを入手すると、極めて私的ではありますがその謎の答えが見えてきた気がします。

 現在のカメラは各種機能の自動化が進み、撮影時のオペレーションは、ボディーを操作する右手にほぼ集約されています。左手の役目といえば、ブレを防ぐためのホールディングバランスの調整と、画角操作のズーミングだけになります。私の様に、ズームレンズにあまり縁がない者にとっては、左手の仕事は無いに等しいと言えるでしょう。もっとも、その「事実」にすら実際は気付いていなかったのですから、慣れというのは恐ろしいものです。

 時にはAFを解除してピントリングを操作し、被写界深度をコントロールするために絞りを1クリック毎操作する。右指はシャッターチャンスをモノにするため、只々静かにレリーズボタン上でその時を待つ・・・・。過去、当たり前に繰り返してきたこの左手と右手の連携が、作画への姿勢をこれほど研ぎ澄していたことに、このレンズは改めて気付かせてくれたのかもしれません。

 特徴的なその画角も、1:1のフォーマットを多用する自分にとっては、3:2比率での私的標準レンズであるフルサイズ35mmに似た心地よさを持ち、自身の目の延長としてフレーミングが行えます。描写性能も特徴的で、恩着せがましいシャープネスや眩しささえ覚える高コントラストとは無縁の、オールドライカレンズを想起させる優しさを持っています。また解放F値1.7では、ボケを生かしにくい小型センサー機においても、美しいボケを堪能できます。

 当初疑問だらけに思えたこのレンズの存在が、フイルムからセンサーへ・光学ファインダーからEVFへと撮影機材の変化を経ても変わらない、写真に対する情熱を再び思い起こさせてくれる事になるとは、Leicaというブランドの製品にはやはり何かの魔法でもかかっているのでしょうか。

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2014年4月19日 (土)

Carl Zeiss Apo-Sonnar 135mm f2 ZF2

 カメラの歴史の中で、これほどまでにクラッシックレンズに注目が集まった事があったでしょうか?マイクロフォーサーズのミラーレス一眼が登場してから本格化した、マウントアダプターを介しオールドレンズを用いる手法は、センサーをフルサイズ化したモデルの投入を受け、一つの撮影スタイルとして完全に市民権を得たようです。

 オールドレンズによる撮影は、フイルム時代のレンズ資産をデジタルカメラで上手く生かすための緊急回避策でもありますが、一方で、高性能でありながらも何処か画一的で、無個性的な現代のレンズがもたらす描写へのアンチ・テーゼといった側面も持ち合わせます。事実、高性能なガラス素材や、確立された設計理論、そしてコンピューターを利用した高度なシミュレーションを用いる術のなかった時代のレンズは、現在のレンズと比べはるかに残存収差が多く、その収差が結像に大きな影響を与えた個性的な描写を見せるものが少なくありません。設計者の腕は、これらの収差を少なくすることはもちろんの事、どの収差をどれ位のバランスで残すのか?といったところで発揮されていたのでしょう。対峙する際に緊張を求められるような、高精細・高密度な映像に囲まれている現代においては、旧世代のレンズ描写にある種の安堵感を求めてしまうのも、自然な流れなのでしょう。

 それでは、レンズの高性能化とはいったい何なのでしょうか?フイルム時代に比べ、2000万を軽く超えた撮像素子が投入されるようになった昨今では、レンズの結像性能にはより高いレベルが必要だとされています。残存収差を極めて低いレベルで抑えこみ、高解像・高コントラストな結像性能を与えられたレンズは、これからも、ただ引き換えに個性を失くして行くだけなのでしょうか?

 そんな心配はどうやら杞憂にすぎませんでした。そう確信させたのは、ドイツ光学メーカーの雄Carl Zeissが放つ最新設計のレンズ群です。中でも後発となる本135ミリは、残存色収差抑制への必要性から、伝統の「Planar」ではなく新たに「Apo-Sonnar」の冠を与えられ、その高性能ぶりは解放f値から遺憾なく発揮されます。135ミリともなれば、解放付近での被写界深度は極わずかありません。しかし、前後の非合焦部へのつながりがきわめて自然であるために、画面に不必要な緊張感が生まれません。10枚以上のガラスを通ってきたとは思えないほどの透明感あふれる描写は、ファインダーでも存分に堪能でき、センサーの性能を遥かに凌駕するであろう分解能の高さは、まるで細密描写された水彩画のごとく繊細な画像を形成します。ハイライトからディープシャドーまでの諧調も豊かで、HDR合成を見せられているかのような錯覚に陥ることさえあるでしょう。

 結像性能に対し一切の妥協を許さないとされるLeicaやZeissの哲学は、デジタル時代においても決して左右されることなく、個性とも受け取れる収差を徹底して排除することで、逆説的に究極の個性を手に入れたということになるのでしょうか。

 ただし、価格も相当に究極的ではあるのですが・・・・

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2012年6月27日 (水)

M ZUIKO ED 12/2.0

 現像の終わったモノクロフイルムを水洗浴から取り出した際、経験したことのない明らかな異質感を覚えたのは、職場の売り物をレンタルしたLeicaのM-Summilux35/1.4(球面)のテスト撮影の時でした。OLYMPUSがM4/3マウント向けに発売する広角単焦点レンズである12ミリ(35ミリフルサイズ換算で24ミリ相当の画角)の本レンズで撮影した画像をPCのモニターで確認した時、実はよく似た感覚を覚えました。的確に表現する言葉を上手く選択できずにいますが、このレンズは「何かが違う・・・」確かにそう感じたのです。

 デジタルカメラ用の最新レンズですから、当然ながら歪曲・色・等の収差はカメラ内で補正され、良好に施されたレンズコーティングと優れた光学素材の採用・設計によって、絞り開放から全画面に渡り非常に均整のとれた高解像度の画像を提供してくれます。しかし、その解像度・コントラストの高い描写と一転、中間調はとても豊かな階調をもち、ややもすると鑑賞者に緊張感を強いてしまう「いわゆる現代的な描写」とは無縁です。被写体をその広い画角とともに優しく包む包容力の様な物をこのレンズは持っているかのようです。

 写真を本格的に撮るようになって、最初に購入した広角レンズは24ミリでした。以来シグマ24/2.8・ニコンAi-s24/2・ニコンAF24/2.8D・コンタックスDistagon25/2.8・コシナZF25/2.8と数多くの近似焦点距離のレンズを愛用しましたが、本レンズはその中でも最高峰のお気に入りとなりました。描写性能だけでなく、金属鏡筒の美しい仕上げと、マニュアルフォーカス時の節度あるトルク感など、所有・使用に際する感覚にも細かく配慮が行き届き、可能であるなら一眼レフの光学ファインダーを透して撮影してみたいと、極めて矛盾に満ちた欲望に駆られる自分を発見するでしょう。

 入手以来、M4/3のシステムでの最少携行レンズは、本レンズ・Summilux25/1.4・Macro-Elmarit45/2.8となっています。気づけば残り2本はライカのネームとエッセンスを受け継いだパナソニックのレンズ。私が過去、Leicaの描写に感じた異質感への、この共感を裏付けているかのようです。

 そういえば・・・・この小型レンズにはやはり必携の、素晴らしい仕上げの純正レンズフードが存在していますが、価格もライカ純正品相当だったりするのは何かの偶然なのでしょうか?

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2011年12月 8日 (木)

NOKTON 25/0.95

 35ミリフルサイズフォーマットでの50ミリ相当にあたるレンズを、一般的には標準レンズと呼んでいます。AFカメラやズームレンズが一般化する以前は、決まったように50ミリの単焦点レンズがセットで販売されていましたから、フイルム時代からカメラに触れていた我々の頭の中には、レンズの描写上の特徴云々以前に「標準レンズ=50ミリレンズ」という図式が染みついています。

 しかしここ十数年来、その「標準」の座はすっかり「標準ズームレンズ」に明け渡し、50ミリの単焦点レンズは、むしろ特別なレンズという意味さえ持ち始めているようです。そしてデジタル一眼の革命児、マイクロフォーサーズマウント向けレンズの中で、35ミリフルサイズフォーマット50ミリ相当の画角となる25ミリのレンズラインナップにおいては、標準単焦点レンズに与えられた存在意義の特殊性を改めて実感することになります。それは、Leica-Summiluxの名を冠したPanasonic製の25mmF1.4と、このCOSINA製NOCTON25mmF0.95が存在しているからです。

 マイクロフォーサーズ用、しかも標準域のレンズと考えれば、決して小型・軽量とはいえない仕上がりかもしれませんが、類似スペックの旧Canon7用の0.95やM型ライカ用のNoctiluxを比較対象とするなら、その小ささ・軽さにマイクロフォーサーズ化の恩恵は十二分に感じることが出来るでしょう。金属製のフードも作りがよく、レンズ・フード各々にレンズキャップが装着可能な点などにも作り手の心意気を感じられます。ヘリコイドや絞りの操作フィーリングも非常に好感が持て、ライブビューでのマニュアルフォーカスが必須となる本レンズの操作フィーリングを極上のものとしています。短い焦点距離を生かした0.17mという最短撮影距離は、今までのハイスピード標準レンズでは不可能だった撮影を可能にし、新たな表現方法を与えてくれるでしょう。

 肝心の描写には、絞りの数値毎に刻々と変化する往年のハイスピードレンズの特徴がよく現れていますが、その描写の変化をライブビューで実感しながら撮影できるという手法がとれるマイクロフォーサーズでは、新たなアプローチで作画に望めます。解放0.95ではさすがにコントラストは低く、全体にハロをまとった独特の描写となりますが、中心部はすでに相当の解像度を持っており、しっかりと合焦部を意識すれば、大きな破綻はしないでしょう。むしろ周辺に向け徐々に下がる解像度と周辺光量によって、観る者の視点を自然に主要被写体へ誘います。後ボケは被写体によっては若干クセのあるものとなりますが、絞りの形状も良く、口径食も比較的少ない為に、開け気味の絞りを積極的に使いたくなります。1.4~2あたりへ絞りを操作すると、コントラストが改善され、色が乗ってくるのがモニター上でも確認できます。さらに5.6辺りまで解像感もみるみる増し4~5.6~8あたりは周辺まで均一に高解像となるようです。それ以上になると段々と回折の影響で解像感を損ね始めますが、本レンズの存在意義を考えれば些末な問題でしょう。

 撮像素子へ、より正確に画像を結像させる事を大前提とされる近年のカメラ用レンズは、「味」などという曖昧な物を排除しつつ進化させてきたイメージがあり、実際、レンズ毎の描写が画一化されつつある印象を持ちますが、純国産でこのようなレンズがリリースされている事を知ると、歓びと同時にある種の安堵を感じてしまいます。

 ノスタルジーを語るには未だ若輩なつもりではいますが、近い将来こんな描写のレンズ一本だけを携えて旅に出てみたい、そんな妄想を抱かせてくれる危険な一本です。

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2011年8月16日 (火)

M ZUIKO ED 9-18/4-5.6

 カメラをこの手に持って、すでに30年という時間を過ごしてきましたが、これまでOLYMPUSのレンズで写真を撮ったことはほとんどありませんでした。高校・大学と、もっとも写真に明け暮れた時間にそのユーザーが周りに少なかった事もありますが、小振りなボディーデザインが、無骨なNikonに慣れ親しんだ私の手には少々なじまなかったというのが本当の理由だったのかもしれません。

 さて、現在のOLYMPUSといえば、往年の銘機「PEN」シリーズをデジタルカメラとして復活させたマイクロフォーサーズ陣営の一角として、人気を二分するPanasonicとともに多くのレンズをラインナップしています。面白いことに標準系ズームレンズである14-45(42)mm以外は、双方に同一スペックのレンズが存在しないので、その事がレンズを選ぶ我々にとっては楽しみでもあり、また悩みの種ともなっています。

 実際、マイクロフォーサーズシステムの超広角レンズを購入する際は、Panasonic製の7-14mmとどちらにするか、かなりの時間悩みました。結果として2ミリ短い焦点距離とズームによってf値の可変しない点を重視して7-14mmを購入したのですが、今回試用した9-18mmの描写は、スペック上の小さな差には決して現れない確固たる個性を備えており、再び購入候補のレンズに上がってしまいました。

 広角側の焦点距離2ミリ分の譲歩とf値を可変方式としたことにより、本レンズは非常に小型・軽量となり、格納時の沈胴機構を作動させると標準ズームである14-42とほとんど変わらない外観になります。AF作動も非常に静穏かつ機敏で、レンズ前面に保護フィルターが装着可能な点からも広角スナップシューターとして存分に機動力を発揮してくれるでしょう。結像性能もズームレンズであることを忘れさせるほどで、画像エンジンとの連携でシステムとして描写力を高められるデジタル一眼の強みを感じることができます。絞りによる画質の変化も緩やかで、解放での素直な描写が、絞り込んでもあまり堅くならずに維持されます。極端なシャープネスの誇張が無く、質感の描写にも優れた本レンズは、解像度重視で画面に緊張感が走る7-14mmと比較して、広角域でのポートレートなどにも好適かもしれません。単純な比較はできませんが、あえて7-14mmを新世代のズミクロンとたとえるなら、9-18mmの写りは往年のズマロンを思い起こさせる、そんな所があるような気がします。

 あまりに小型で取り回しが簡便なために超広角レンズであることを忘れると、うっかり自身の指を写し込んでしまいます。別売りで定価5,000円と高価ではありますが、レンズフードは必携アイテムとなりそうです。

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2011年7月17日 (日)

KIYOHARA VK50R 50/4.5SOFT

 マウントアダプターを併用することによって、古今東西・新旧のレンズを使用できるというマイクロ4/3マウントの利点は、初代Panasonic G1が登場した当初から注目されていました。もっとも、焦点距離から判断される画角は、35ミリフルサイズカメラのそれと比較しおよそ2倍となってしまうというデメリットも含んではいますが、それでも現像やフイルムに関わるコストがかからないデジタル撮影では「とりあえず撮ってみる」というスタンスが有効なため、おそらくはカメラメーカーがもくろんだ以上にカメラファンの間で日常化した感があります。

 事実、歴史上名を馳せた名レンズのマウントや最新AFレンズのマウントだけでなく、対応するレンズを探すのがかえって難しいようなマウントのアダプターまで登場し、アダプター市場は大変な賑わいを見せています。それに伴って、フィルムカメラの市場衰退から一時は底値をつけていたレンズに中古市場では思わぬ高値がつけられるような場合もあったりしますから、流行というのは本当におもしろいものです。

 ソフトレンズという特殊性から需要が限定的だった本レンズも、マウントアダプターによって再び人気を取り戻したレンズの一本となるでしょう。ライブビューにより、拡大画像で納得いくまでピント合わせに集中でき、絞り値によって大きく変化する描写もリアルタイムで把握しながら撮影が可能になるなど、フイルム時代では考えられないほどに使い勝手が向上し、100ミリ相当となる画角も本レンズの描写にマッチします。フイルムの撮影では、ソフト効果によってトーンが均一化され粒子が荒れたように感じてしまう事が多かったため、むしろ素粒子効果をねらって高感度フイルムで作品を作っていたのですが、デジタル撮影では粒状感のない美しいソフトフォーカスを堪能させてくれました。

 製造本数が決して多くは無いため、昨今の人気上昇に伴って中古相場が今より上がらないうちに、再び手元に置いておこうかと真剣に悩む一本となりました。

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2011年4月15日 (金)

Lumix G Fisheye 8/3.5

 Panasonicのマイクロ4/3規格用交換レンズは、小型軽量で誰にでも親しみやすいデザインと、ポップでカラフルな外装を纏ったボディー群とは裏腹に、販売ターゲットを明確に意識したものに感じられます。一般ユーザーをターゲットとしたであろう14-45ミリと45-200ミリの2本を除けば、8ミリ対角線魚眼・7-14ミリ超広角ズーム・45ミリマクロレンズ・14ミリ広角単焦点・20ミリ標準系単焦点と、そのどれもが存在理由を明確に与えられた一本一本となっています。

 中でも最も異色を放つ8ミリの対角線魚眼レンズは、形成される特殊な画像故に決して多くの需要は見込めないと思われますが、システムの発表初期の段階から発売が決定していたようで、開発陣・営業サイドともに、このシステムへいかに力を入れていたかが改めて実感できます。事実、非常に描写性能の高い各レンズに倣い、特殊レンズでありながら非常に端正な結像をします。解放から十分にシャープネスを発揮し、f4あたりからすでに全面に渡って均一な解像性能を有しています。むしろf8で現れはじめる回折を考慮し、あまり絞り込まない方が得策と言えるでしょう。逆光性能も非常に優秀で、フレア・ゴーストともに極わずかで、シャドー部の諧調もしっかりと粘りを見せてくれます。屋外利用では太陽が画面に入り込むケースが多い超広角レンズですから、この性能は大きな武器になります。光学系に採用したEDレンズの恩恵からか、像のデフォルメが大きく発生する周辺部でも醜い色収差は認められず、安心して作画に没頭させてくれるでしょう。

 ライブビューで本レンズを構えると、背面液晶に映し出される景色はまるで、異世界への入り口にでも立っているような錯覚を覚えさせ、写真を撮るのを忘れて見とれてしまいます。どうやらライブビューで覗くフィッシュアイレンズの映像は、新しい可能性を感じさせてくれたようです。

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2011年3月13日 (日)

ご報告

今回の震災における、被災地の方々に心から御見舞を申し上げ、また行方不明の方や救護が必要な方への一刻も早い救援・救助の手が差し伸べられますことを、そして現地の復興を心よりお祈り申し上げます。

当方も、地震の被害が比較的少ない本州内陸にありながら震度5強という未体験の地震に直面し、震源に近い場所に住まわれていた方たちが、いったいどんな恐怖を味わったかと想像すると、大変に心が痛みます。

このブログに関しまして、ここしばらくの更新を停止させていただくことをご報告させていただくとともに、右下Linkより、旧HP時代から利用しておりました掲示板へのリンクを張らせていただきました。このブログ及び旧HPをご利用いただいた方々(とりわけ、同窓の皆様)の情報伝達の場としてご利用いただければと思います。

取り急ぎ、ご報告まで。