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世界的に有名な写真家「ロバート・キャパ」の著書「ちょっとピンボケ」にあやかり、ちょっとどころか随分ピント外れな人生を送る不惑の田舎人「えるまりぃと」が綴る雑記帳。中の人は大学まで行って学んだ「銀塩写真」が風前の灯になりつつある現在、それでも学んだことを生かしつつカメラ屋勤務中。

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KIYOHARA VK50R 50/4.5SOFT

 黎明期の写真レンズや海外製のレンズには、設計者自身の名前や設計者自身が与えた特定の名前を冠するレンズが多く存在しています。

 一方、世界屈指の光学製品の製造国である日本製のレンズには、メーカーやブランド、あるいは型式を冠してはいるものの、レンズ固有の名前を与えられている製品は決して多くはありません。これが、「察し」と「思いやり」、そして人の半歩後を歩む「奥ゆかしさ」を美徳としてきた国民性の表れの一つなのかどうかは憶測の域を出ませんが、非常に興味深い事実と言えます。

 そんな日本製レンズの中にあって、設計者の名前を与えらた数少ないレンズの一つが、このKIYOHARA VK50Rです。名称だけではなく、その描写の特異性も相当なもので、製造を中止した現在ではなかなかのレアアイテムとなっています。ルーツは業界の雄、コダック社のスプリングカメラ「ベスト・ポケット・コダック」に搭載されていたレンズ(通称:ベス単<ベスト・ポケット・コダック搭載の単玉レンズ>)と言われ、そのフードを外したときに得られる独特のソフトフォーカス描写(ベス単フード外し)の熱狂的なファンが多かったことから、清原光学において1群2枚の張り合わせレンズを用いた一眼レフ用交換レンズとして登場したのが、オリジナルのVK70Rというソフトレンズでした。そして、より短い焦点距離レンズへの要望が高まり発売されたのが、この焦点距離50ミリのソフトレンズです。中古市場でも稀な存在ですが、ペンタックス645や6x7といった中判フォーマット用のレンズも発売するなど、販売当時はそこそこに人気を博したようです。

 主に残存する球面収差を利用し、絞りによってソフトの量を変化させる設計の為、ソフト量の多い解放付近ではピントの山が無く、ソフト量を控えるため絞り込んだ状態では暗くなったファインダー像で、これまたピント合わせに苦労するという、ピント合わせに非常に難儀するレンズでした。しかしながら段階露出ならぬ段階ピントを多用して、ようやく得られる摩訶不思議な画像はなかなかに情緒的で、特に高感度フイルムの併用で得られる粒子感の際立った画像は、他レンズやフィルターを使ったソフト描写では得難い物がありました。単玉故にゴーストの発生は少なく、逆光でもシャドーの引き締まった画を提供してくれました。

 「性能」という観点でのレビューは難しいレンズではありますが、私個人の大学卒業の大きな力となってくれたこの一本に敬意を表して、ここで紹介させていただきたいと思います。

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現在は観光・資料用としてすっかり整備がされてしまった碓氷峠の鉄道遺構。撮影当時は現在のような廃墟ブームもなく、ひっそりと佇んでいました。撮影に使用したコニカクローム1000と言う高感度リバーサルフイルムは、デジタルでのISO1000とは比較にならないほど「粒状感」が目立ち、いわゆる「素粒子」写真となりました。高輝度部のハレーションが独特のソフト描写をひきたてますが、構成枚数が少ない為、ゴーストの発生に悩まされることはありません。

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このレンズを持ち出すと、不思議と古いものに目が行きます。地元に保存されるデゴイチの愛称で親しまれるD51型蒸気機関車。その運転台の圧力メーターが被写体です。ソフトレンズとは言え合焦部はそれなりの解像感がありますので、文字などはしっかり読み取れます。元からなのか、誰かの悪戯か、ガラスや指針が無くなっているのが残念です。

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廃墟の明り取り窓。過ぎ去った時間が空気の粒となって記録されているような、そんな不思議な感覚が癖になり、「ソフトレンズ+高感度フイルム」が当時私の常用となりました。

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これは、本当にたまたまの話。誕生日が自分と同じ8月27日ということもあって、詩人・作家の宮沢賢治の世界に興味が湧き、岩手の花巻を訪れた際の一枚。f11程度に絞りこむと、収差の影響が少なくなり、ハレーションやソフト感は無くなります。おそらく、通常感度のフイルムであれば、普通の写りをするはずです。デジタル技術が進み、現在ではISO1000程度では「素粒子」効果は得られず、もっぱらデジタルエフェクトの出番となるのでしょう。

 

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