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2010年11月

2010年11月17日 (水)

Lumix G 14/2.5 ASPH

 35mm判で言うところの28mmという焦点距離は、今日のような標準ズームレンズが一般に広まるまで長い間「広角レンズ」の代表格でした。登場初期は広角域が35mm止まりの製品が多かった標準ズームレンズも、いまや28mmは当たり前の焦点距離となり、パナソニックのマイクロフォーサーズ用のレンズラインナップにおいても、14-45mmや14-140mmといった様に、標準域をカバーするズームレンズは14mmすなわち28mm相当をワイド端としています。また同システムには広角ズームレンズとして7-14mmがラインナップされており、あえて14mmという焦点距離の製品を後発でラインに加えてくるというメーカーの姿勢、これには自ずと興味が湧いてきます。

 前述の通り、標準域の焦点距離はズームレンズ一本で済ますスタイルが定着している昨今、定石を破り20mm F1.7といういわば前時代的な単焦点標準レンズをキット販売したことで、逆転の大成功を収めたのがパナソニックのGF1ですが、単焦点レンズならではの明るさや描写性能、また絞りを変化させた時の描写の違いが、ズームレンズで育った現代のカメラ入門層にとても新鮮に映ったことが、その成功のカギの一つだったようです。

 そして、その20mmの成功がこの14mm登場の大きな伏線であったかの如く、発表当時から発売を待ちわびていたユーザーが多かったようです。5群6枚という少ないレンズ構成中その3枚を非球面レンズが占め、本レンズ最大の特徴である小型・軽量化そしてAFの高速化を実現しています。0.18mという最短撮影距離はパースペクティブを強調する広角レンズの特徴をいかした接写撮影を可能にし、絞り、撮影距離による表現の変化という単焦点レンズならではの楽しみを存分に味わうことができます。画面全域での解像感は高性能ズームレンズである7-14mmに譲りこそしますが、周辺に向けなだらかに落ちてゆくシャープネスや強い光源部に纏うハロによって、中央の被写体が優しく、そして自然にひきたてられます。

 最新の光学設計によって描き出された最新の映像はどこかノスタルジックで、それこそがこの14mmの存在理由だとするならば、画一的と思わずにいられなかったデジタルカメラ専用レンズにも、まだ十分に楽しむ余地がのこされているという事になるのでしょう。

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2010年11月 6日 (土)

Lumix G Vario 7-14/4 ASPH

 広角域のレンズは焦点距離1ミリ当たりの画角変化が大きく、わずか数ミリの差によって与えられる映像が驚くほど変化します。それ故に、広角ズームレンズは2倍程度の焦点距離の変化があれば、画角のみでの比較で単焦点レンズ4~5本程度の役割を担うことができます。

 しかしながら、焦点距離の短い広角レンズは倍率色収差や歪曲収差を主とした、描写上問題となる各収差の発生や周辺光量の不足を起こしやすいといった問題があるため、ズーム化するには多くの困難が伴います。また、一眼レフにおいては、レンズ後短と結像面の間にミラーが存在するため、バックフォーカスを長く取らなければいけないという、設計上の大きな制約があります。その為に一眼レフ用の広角ズームレンズでは、低分散ガラスや非球面ガラスをはじめとした高額なガラス材を用いたり、周辺光量不足を補いバックフォーカスを長く取る為の設計故、レンズが大型化・高額化する傾向にあります。

 マイクロフォーサーズ規格におけるパナソニック唯一の広角ズームレンズである本レンズは、35ミリ判換算で14ミリという超広角域までをカバーする特殊レンズながら、バックフォーカスの呪縛から解放されたマイクロフォーサーズシステムの特性を生かし、非常に小柄な筺体を手に入れ、300グラムという驚異的な軽量化を達成しました。また、デジタル専用設計のアドバンテージを生かし、歪曲・色収差・周辺光量の不足といった欠点は画像データー作成時に見事に補正されます。これら新時代の補正技術により、解放から画面全域に渡り滲みの少ないクリアな画像を提供してくれます。f5.6~8あたりですでに解像感は頂点に達し、むしろ絞り過ぎによる回折への注意が必要な様です。

 ここまでの広角域を過去に記憶が無いと言っても良いほどの解像度で再現するこのズームレンズは、最前面に保護フィルターの装着が出来ず、またゴーストの抑制に若干の気を使いこそしますが、マイクロフォーサーズシステムという新時代のフォーマットにおける「至高の一本」となる事にもはや何の疑いもありません。

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2010年11月 3日 (水)

Nikon Ai Nikkor 35/2s

 写真を撮ることに興味を抱き始めた頃は、自分ではカメラなんて高額な買い物ができる年齢ではなかったので、撮影には必然的に自宅にあった父のカメラを持ち出す事が前提でした。そのカメラが「NikonFE」で、レンズは50ミリの標準と75-150ミリの望遠ズームレンズでした。わずかな機材でしたが、学校内でのスナップや趣味の鉄道写真を撮るには十分で、以来自身のメイン撮影機材は長年「Nikon」でした。

 その後、プロカメラマンへの憧れから写真系の大学に進学し、卒業後にブライダルの仕事を始めるまで、ずっとこの手には「Nikon」が存在していました。そして、この35ミリは、プロカメラマンを目指し写真に明け暮れた大学時代にもっとも活躍したレンズの一つです。今までの写真人生の中で一番ショット数が多かった大学時代に、もっとも信頼していた一本という事になります。

 一般的にNikkorは、やや高めのコントラストと力強い合焦部の描写を見せますが、反面、繊細なイメージを持たず、ボケも堅くなるイメージがあります。ところがこのレンズはそんなニコンレンズ中異色な存在なのか、開放付近では優しいコントラストと繊細なピントの切れを見せ、最短撮影30センチでも美しい描写をします。とあるエッセイでsummicron35ミリに勝るとも劣らないという記述を見たことがありますが、それは、単なるお世辞では無いでしょう。少々残るタル型の歪曲と開放付近での若干の二線ボケも、経験的に感じるsummicronの描写特性によく似ています。

 フルサイズデジタル一眼が普及した今日、今一度ニコンのレンズシステムを組む機会に恵まれたなら、真っ先に購入する一本となるでしょう。


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