For M4/3 Mount (Panasonic) Feed

LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.

 レンズは、標準画角(マイクロ4/3では25mm前後の焦点距離)の製品に最も明るい解放f値を与えられて設計されるのが一般的です。そして、近年ではf1.0やf0.95といった、非常に明るい標準レンズのスペックも、フイルム時代に比べれば珍しくは無くなっている印象が強いでしょう。望遠レンズであれば、焦点距離と有効口径、伴う重量や設定売価の関係もあり、フルサイズ画角の300~400mm近辺ではf2.8、800mmともなればf5.6辺りが実用的な最も明るいレンズとなりましょう。また、解放f値は描写性能を左右する光学的な収差にも影響(闇雲に明るくすると描写が悪化)しますので、超広角レンズやズームレンズなどではf2.8クラスが長い間定番化していました。しかし近年では素材研究や設計・加工技術の進歩に加え、デジタルによる画像補正の恩恵を受ける事が出来る為に、これまで想像もできないほどに明るい超広角レンズやズームレンズを目にする事も多くなりました。

 Panasonicが2022年に突如リリースした本レンズも、9mm(フルサイズ換算18mm画角)という超広角レンズでありながらも、Summilux名を与えられた解放f値1.7を誇るハイスピードレンズに仕上がっています。Panasonicでは近似焦点距離に7-1mm/f4や8-18mm/f2.8-4といった描写力に優れた超広角ズームレンズがすでにラインナップされておりますので、このタイミングにあえてLeica-DGブランド単焦点レンズを投入した姿勢に、「Micro4/3」を切り捨てていないという明確な意思表示を感じたのは私だけではないと思います。

 さて、そんな意思があったのかなかったのかは想像の域を脱しませんので、このレンズの存在価値について少々掘り下げてみましょう。何を隠そう、登場時一番驚いたのは実はその価格。スペックとLeica-DGネームから勝手に15万円コースを想像していたのですが、なんと税別6万円を切るという超が付くお買い得。これならサラリーマンのポケットマネー(全財産)で何とかなりそうな予感。フイルム時代に愛用していたCONTAXの18mm/f4は、この明るさ(暗さ)でも確か10万円以上の定価だった筈なので、良い時代になったものだとしみじみと実感しております。レンズ内手振れ補正の未搭載や、DGレンズのトレードマーク「絞り環」の不在等、コストダウンの影も見え隠れしますが、ブレに神経質になる必要性が低い超広角レンズですし、私の様に「絞り環」の誤作動を嫌うユーザーからすればむしろ英断かと。すでに8-18㎜を所有する身ではありましたが、1.7の解放f値と標榜するハーフマクロに期待を寄せて、近年では珍しく発売日に入手してしまった次第です。

 少し前では想像もできなかったスペック(価格含め)のレンズですが、その性能はさすがにLeica名を与えられただけあって隙が無く、解放から全画面に渡り非常に解像感が高く、深い被写界深度も手伝って「シャープなレンズだなぁ」というのが第一印象。よほどの接写でもなけれな絞りはf2.8程度でもパンフォーカスになります。単焦点だけあって構成枚数も比較的少ない為、逆光でもクリアな描写を実感できます。最短撮影9.5cmはレンズの全長5.2cmを考慮すれば、レンズ前面が被写体にぶつかりそうな勢いで、明るい解放f値を併用すれば、パースとボケを利用したこれまでにない表現を利用できるなど、その廉価に見合わない活躍をしてくれそうです。

 あまりに使い勝手が良いと8-18mmの去就問題に発展しかねないので、褒めるのはこの位にしておきますけどね。

 

 

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広角レンズ作例のおあつらえ向きな被写体。街灯上にウミネコらしき鳥がとまっているのですが、拡大するとくっきりと写っている事に驚き。解像度的には回折の影響が出ないf5.6辺りがピークでしょうか。無論被写界深度は相当に深いので、背景の入道雲までとてもシャープに写し取ります。

 

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ホタルイカ漁で有名な港町、シーズンオフでしたのでちょっと寂しい感じに。炎天下でしたが、機材全体が軽めなマイクロ4/3ですので足取りは思ったほど重くはならないものです。カメラバックのサイドポケットにも入ってしまいそうな小型レンズですので、置忘れには注意しないといけませんね。

 

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真夏の太陽光が降り注ぎますが、逆光耐性もなかなか高いレンズかと。直接太陽を画面に入れればゴーストの発生を確認できますが、画面全体のコントラストが下がるようなフレアが発生する気配はまるでありません。

 

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曇天のこういった状況も、逆光性能が低いレンズですとハイライトからの滲みが悪さをする事があるのですが、心配はありませんね。朽ちたコンクリートの質感も良い感じで出ています。

 

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超広角レンズでの接写。しかも解放とくれば、もっと荒れた映像を想像していましたが、超絶普通に写ってしまいました。さすがにf1.7ともなると、9㎜であってもかなりのボケ量になります。線路上のバラストはもう少し乱れたボケになると思ったのですが、これなら完全に実用になります。

 


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超広角レンズを持っている時にこういった被写体に出会うと、異常にテンションが上がるのですが、総じて当たり前な写真を撮ってしまいがちなのは如何ともしがたいですね・・・。しかし、非常に細かく写る遠景の被写体も、拡大してもビクともしない圧巻の解像度。

 

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レンズ内手振れ補正は非搭載ですが、この焦点域でこの明るさですから、多少薄暗い室内でもブレた写真を量産する心配は無用。超広角、しかもf1.7という明るさのレンズとは思えない緻密な描写に惚れ惚れします。

 

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ボケに癖が感じられそうな被写体を選んでみましたが、自然なボケ像にちょっと拍子抜け。最新設計のレンズだけあって、安易な欠点探し程度ではアラを見つけだせないようです。

 

DG VARIO-ELMARIT 50-200mm/F2.8-4.0 ASPH

 Panasonicからはマイクロ4/3マウント向けに、解放f値を2.8-4の可変とすることにより小型・軽量化を推し進め、3本で超広角域から望遠域までをカバーするLeicaネームのDGレンズが発売されています。広角域8-18mm・標準域12-60mmは既に当ブログでは紹介済みですので、本編はそのラストバッター、望遠域をカバーする50-200mmを取り上げたいと思います。

 解放絞りをf2.8として、「大三元」とも称される3本のレンズで広角域から望遠域までをカバーするレンズのラインナップはフイルムカメラの時代から存在しましたが、デジタル時代となってISO感度の設定に自由度が生まれると、レンズの小型・軽量化の為に開放をf4へと落とし「小三元」などとも呼ばれる派生ラインナップが生み出されました。とすると、可変f値の本シリーズは「中三元」(そんなアガリ役は無いですが・・・)とでも言ったら良いのでしょうか。小型センサー機においてその恩恵はとりわけ望遠レンズの小型軽量化に現れている事を再三お伝えしておりますが、本レンズはテレ側の解放をf4と控えることで、その特徴をさらに際立たせた存在となっています。その多くが35mmサイズ用のレンズとしては200mmがテレ端となる「三元」レンズですが、なんと本レンズでは、35mmサイズで400mm相当の「超望遠域」までをカバーするのが最大の特徴です。とりあえず3本持てば無敵の布陣、毛利元就もビックリな三本の矢となります。

 描写性もLeica社お墨付きは伊達ではなく、他2本同様非常に優秀と感じます。200mm側ではボケのエッジにやや硬さを残しますが、ズーム全域で非常に解像感が高く目の覚めるようなシャープな映像を堪能できます。解像のピークは開放から2絞りあたりからでしょうか、ズームレンズとは思えないほどの精緻な描写に驚きます。M.ZUIKO ED 40-150mm F2.8 PROがあれば、1.4倍のテレコンバーターを併用することで35mm判で420mmの画角となりますが、超望遠域が撮影のメインとなる場合は、DG VARIO-ELMARIT 50-200mm/F2.8-4.0 ASPH(本レンズ)の方が、取り回しが良いと感じました。強力な手振れ補正は本レンズにももちろん装備され、400mm相当という狭い画角ながら、安定したフレーミングを可能にし、1/60秒以下の低速シャッターでも軽々と手持ち撮影を可能にしてくれます。この事は長焦点レンズながら三脚座を備えない思い切りの良さにも繋がり、結果カメラバック内での占有率低下や軽量化にも一役買っています。

 「中三元」この3本を所有できたなら、レンズ選びで悩むという写真道楽最大の楽しみ一つが無くなってしまうのではないか?という新たな悩みが生まれてしまいそうです。M.ZUIKO ED 40-150mm F2.8 PROに加えG X VARIO 35-100mm/F2.8も含めると、マイクロ4/3には個性際立つ3本の「三元」望遠ズームレンズが存在する事に。やはり悩みの種は簡単には尽きないものなのですね。

 

 

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テレ側です。これで解放の描写。拡大するとコンクリート壁のひび割れの様子や、鉄柵固定用の針金のほつれまで描写されています。望遠ズームレンズは比較的性能が優秀な物が多い印象を持っていますが、ここまでくれば「別格」といって良いのでは。

 

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テレ端、解放の描写。ボケはどちらかといえば像のエッジを残すタイプですが、十分に素直できれいなボケと言って差し支えないかと。驚いたのはこの被写体にG9の被写体認識が反応して自動で手前の像にピントを合わせてくれた事です。判別対象に「狐」って無かったですよねぇ?ひょっとしてオカルト??

 

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解放ではアウトフォーカス部のハイライトが少し滲んだ感じで、こんな被写体には絶妙にマッチ。葉の輪郭にボケ像の特徴が表れています。合焦部の解像度に全く不満はないですね。

 

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絞りを一段半ほど絞っただけで、さらに解像感が上がるのがわかります。撚った針金や、錆びた煙突の表面の様子など、至極精密な描写力に圧倒されます。画像のヌケも良く、ストンと落ちた窓のシャドー部がいい感じです。

 

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これもテレ端の解放描写。背景にボケの硬さを感じられる部分がありますが、この程度なら全く気にならないレベルですね。

 

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こんなものにまで人工の樹脂製品が使われていることにオドロキ。やはり天然素材で作るより長持ちするのが理由なんでしょうかねぇ。効果(ご利益?)には違いはないのでしょう。

 

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望遠レンズの特徴である遠近感の圧縮が、画面に良いリズムを与えてくれます。それにしても並んだ給油機に張られた注意書きのメモ、ちゃんと読めてしまうのに驚きです。

 


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スズメ。最近都会ではあまり姿を見なくなっているとか。そういえば、地元でも昔に比べればその鳴き声を耳にしなくなっているのかも。そのツブラな瞳にはしっかりと「キャッチライト」が・・・。ほんと、すごいレンズですよ。

 

LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2

 生まれて初めて手にしたカメラやレンズがLeicaだった、という恵まれた?人は例外とさせていただきますが、Leicaに興味を持ったのは、写真の世界に足を踏み込んで少し時間が経ってから、というのがセオリー(諸説あります)でしょうか。そして、きっとそのブランドに興味を持つと、レンズ毎に耳慣れない呼称がつけられている事に疑問を感じる人も多いでしょう。日本ブランドのレンズではNikkor(ニッコール)であったり、Takumar(タクマー)であったりと、レンズシステム全体を指すブランド名こそ耳にしますが、個々のレンズにそれぞれの呼称が与えられる事は非常に希なケースであるからです。片や、LeicaやCONTAXなどのヨーロッパにその起源を持つブランドのレンズには、ある一定のルールを持ちつつも、レンズ個々に別の名前が与えられている事が多いようです。もしかしたら、人名においてファミリーネームとファーストネームの扱いに差異が生じている様に、歴史背景や文化の違いがこういった面にも影響しているのかと勝手な想像を巡らせると、なかなかに興味深いものです。

 さて、話をLeicaへ戻しましょう。前述の通りLeicaのレンズは、様々な由来を持つ個性的なネーミングがされています。一部例外はありますが、基本的には解放f値をある一定の基準として

f0.95/1.0/1.2/1.25:Noctilux

f1.4/1.5:Summilux

f1.5/2.4/2.5:Summarit

f2:Summicron・Summar・Summitar

f2.8:Elmarit

f3.5/3.4/4:Elmar

他:Hektor・TelytThambar・Elmax 等々

と、こんな具合に分類することができます。古い世代では一製品にのみ与えられた名称も多いのですが、現行製品(2022年)にも引き継がれて利用されている名称を色付きで記載してみました。中でも、もっとも明るいf値を与えられた「Noctilux」という名称は、耳にした際に特殊な余韻を残(すような気が)しますが、それは語源にラテン語の「夜」を意味する言葉から派生した「Noct」を含んでいるからでしょうか。Noctといえば、「ノクターン」を想起される方も多いかと思いますが(ノクターンに「夜想曲」という和訳を付けた方のセンスには脱帽します)、カメラ好きにはNoct Nikkor 58mm f1.2が有名でしょう。何れにしましても、夜の灯りですらも撮影可能な明るさを持ったそれらのレンズに、とても似つかわしい響きだと感じます。(最新のデジタルカメラなら高ISO感度と手振れ補正で、わりかしどんなレンズでも夜間に撮れちゃうんですけどね)

 ところでお気づきかと思いますが、本稿レンズの解放f値は1.2でありながらも、前述したルールには則っていません。本来ならば「Noctilux 42.5mm f1.2」としても不思議ではありませんが、「Nocticron」というこれまでに聞き覚えの無い名称が与えられています。無論、その時代の最高の明るさを持ったレンズ=Noctiluxであるとすれば、2022年現在Noctiluxを名乗れるのはM型Leica用のNoctilux50mm f0.95という事になりますが(Noctilux 75mm f1.25には気付かなかった事にして・・・)、純血ライカレンズではないPanasonic製レンズには、やはり「Noctilux」は与えられなかったのでは?というのは、さすがにちょっと意地の悪い見方ですよね。ここは「Noctilux」と「Summicron」の間の明るさ=「Nocti+cron」なのだということで、むしろ唯一無二の名称を与えられていることにLeica社の良心を感じ取るべき所なのでしょう。

 余談が過ぎました。レンズの本分はやはりその「描写」にこそありますから、その部分をちょっとだけお話ししましょう。現在マイクロ4/3フォーマットという同じ土俵でしのぎを削るオリンパス(OMデジタルソリューションズ)からも、近似スペックでM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROがリリースされており、購入者は否応なくその比較検討を強要される形になっています。かく言う私も、一本を選択(金策)するのに2年の時間を必要としてしまいました。両者ともに開放絞りから十分に実用となるピントのキレ、高い解像度とやや控えめなコントラストで紡がれた繊細な画像を形成し、正に「ポートレートレンズ」の王道を往くもので、絞り込んで行くにしたがい、さらに増す解像感は被写体のリアリティーを余す所なくセンサーに叩き込みます。凝視した視覚に近いとされる画角を持つ中望遠レンズとしての存在感は両社一歩もに譲りません。注目する点とすれば、やはり「中望遠+開けた絞り」での「ボケ像」の在り様、に尽きるでしょうか。ボケ像のエッジが柔らかく、滲むように溶けて行くのが「ZUIKO」、一方ボケ像に実像のエッジをやや残すことで立体感をより強く感じ取れるのが「Nocticron」そんな印象を受けました。特に「Nocticron」では、ボケ量の大きさだけでなく、その表情が絞りによって多少変化する様です。

 究極的には表現目的に合わせた二刀流が理想と感じましたが、描写特性の似たM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROをすでに所有していたこともあり(無論2本目の補正予算は国会を通らなかったので)、私のチョイスはキャラクターの少々違う「Nocticron」と決定したのでした。

 後悔って訳では決してないのですが、「ZUIKO」もやっぱり欲しいんですよね・・・・・。

 

 

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ボケ像の特徴を出す被写体を選んでみました。大口径レンズらしい大きいボケですが、ボケの中に被写体の名残りを感じさせる僅かなエッジを感じます。

 

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直射日光の当らない日陰、コントラストの低い条件ですが、独特の空気感と立体感を醸します。最短撮影距離は50cm。欲を言えば35cmが欲しいですがこれもZUIKO45mmと共通。わざとでしょうか(苦笑)

 

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モノクロ+映り物は大好きな被写体です。切り取り感の出始める中望遠の画角は作者の「意思」をフレーミングで表現する感覚が気に入っています。

 

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モニターで確認したときは、背景が少しうるさく感じたのですが、半切サイズにプリントしたものを鑑賞したら、その空気感にハッとさせられました。やはり「写真」はプリントすることも大事なのだなぁと、しみじみ感じた一枚です。

 

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ZUIKOとNocticron、選択に結論を出させた一枚です。後悔は、、、してません。
多分。
 

Lumix G X VARIO 35-100mm/F2.8 II

 いつの頃からでしょうか、f2.8という比較的明るい解放値で設計され、広角域・標準域・望遠域それぞれの画角を持つ3本のズームレンズを巷では「大三元」という麻雀の役になぞらえて呼んでいます。中でも望遠域を担当するフルサイズ換算で70-200ミリ相当の画角を持つレンズは、ポートレート・スポーツ・鉄道・風景など、対応する被写体も多いため人気が高く、メーカー渾身の高性能レンズがひしめき合っています。大口径レンズ故の大型フードや三脚座、メーカーによっては白色の外装が用意されるなど、そのスペシャル感も高くなっていることから、入門者にはいつかは手に入れたい憧れの機材、ベテラン勢からすれば一種のステータスシンボルとして、レンズ界のスーパースター的存在となっています。

 さて、パナソニックからリリースされる本レンズは、35-100ミリという、フイルム時代の標準ズームレンズのような焦点距離で、前述の大三元望遠ズームに相当する画角域を担当しています。小型センサー機を利用する最大のメリットが機材全体の小型軽量化にあることは、幾度となく触れてきましたが、その特徴は本レンズにも顕著に表れています。フルサイズミラーレスであるニコンZシリーズ用のNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sの重量1440グラム・全長220ミリ・フィルター口径77ミリと比べると、本レンズは重量357グラム・全長99.9ミリ・フィルター口径58ミリとその差は明らかで、全長で半分以下、重量に至っては1/3以下というダウンサイジングになります。これにはフルサイズ用では小三元などとも言われている解放f4クラスのレンズであっても到底かないません。フードを付けたままでも上着のポケットに十分収まってくれるので、レンズ交換時のハンドリングも良好で、そのあまりに軽さ故に、カメラバックのサイドポケットに仕舞ったたことを忘れてしまい、何処かに置き忘れてしまったのかと、撮影中に焦った事もあるほどです。以来、撮影中のカメラバックの中では、常時フードを付けたまま保存する癖がついてしまい、小型であるというせっかくの長所を台無しにするという本末転倒な事態を招いています。

 あまりに外観が小柄であることと、小型のペットボトル飲料ほどしかない重量の為、なんだか描写性能も軽く見てしまいがちですが、やはりそこは大三元の一翼、なかなかに侮れない魅力を放ちます。ライバルとして頭に浮かぶのは、オリンパスのMZD40-150/2.8PROとなるでしょうが、強烈なシャープネスは同レンズに譲るとしても、本レンズは独特の雰囲気をまとった個性的な描写をします。もちろん高性能レンズとして、絞り解放から十分なシャープネス発揮してはいますが、前後に広がるやわらかいボケ像が加わることで、とても優しい映像を提供してくれます。カミソリのようなエッジを見せる40-150/2.8PROは、若干ボケ像にも硬さを感じる場面もあって背景処理に気を遣う事もありますが、本レンズ(特にテレ側)ではその心配は無いようです。とりわけ、植物や人物など「柔らかさ」や「しなやかさ」といった質感を求める撮影の場合には、本レンズの方がマッチする事も多いのでしょう。普段は三徳包丁で間に合わせる調理も、時折菜切り包丁を手にすると、その存在意義を確かに感じるかの様に、ライカブランドレンズの中で埋もれてしまいがちなパナソニックレンズの確かな実力を感じる一本です。決してバーゲンプライスとは申しませんが、フルサイズ用の他社レンズと比較すれば十分に「お買い得」な一本。40-150/2.8PROを所有していても、無駄な防湿庫の肥やしとはならないでしょう。

 

 

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湖面に点在するのは、水温む前のヒツジ草の一種でしょうか。凪いだ水面に映った樹の枝に桜が咲いているようです。このレンズの映像を見ていると、なんとなくこちらの気分までほこっりしてくるような気がします。

 

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こういった被写体は本レンズが得意とする所。葉の柔らかさ、含んだ水分の重さが伝わってくるような優しい質感を見事に表現してくれます。

 

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偏見かもしれませんが、なんとなく「日陰」の被写体がマッチする本レンズ。ズームであることは日常の撮影での利便性を上げてくれます。ワイド側の35ミリはフルサイズでいえば中望遠の画角。気になった風景をちょっと切り取るのにとても便利です。

 

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前後のボケはとても柔らかで、質も等しく好感度高め。立体感、空気感を絶妙の塩梅で描き出してくれます。

 

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シャープネスの高さを誇るレンズでは天敵となる事もある「猫じゃらし」のボケ。ガチャガチャとうるさくなって合焦部の邪魔をしてくれる事も多いのですが、見事な「いなし技」。撮影に出かける際は焦点距離が被っていても40-150・35-100の二刀流が理想かもしれません。

 

Lumix G Vario 7-14mm f4 ASPH

 広角域のレンズは焦点距離1ミリ当たりの画角変化が大きく、わずか数ミリの差によって与えられる映像が驚くほど変化します。それ故に、広角ズームレンズは2倍程度の焦点距離の変化があれば、画角のみでの比較で単焦点レンズ4~5本程度の役割を担うことができます。

 しかしながら、焦点距離の短い広角レンズは倍率色収差や歪曲収差を主とした、描写上問題となる各収差の発生や周辺光量の不足を起こしやすいといった問題があるため、ズーム化するには多くの困難が伴います。また、一眼レフにおいては、レンズ後短と結像面の間にミラーが存在するため、バックフォーカスを長く取らなければいけないという、設計上の大きな制約があります。その為に一眼レフ用の広角ズームレンズでは、低分散ガラスや非球面ガラスをはじめとした高額なガラス材を用いたり、周辺光量不足を補いバックフォーカスを長く取る為の設計故、レンズが大型化・高額化する傾向にあります。

 発売当初、マイクロフォーサーズ規格におけるパナソニック唯一の広角ズームレンズであった本レンズは、35ミリ判換算で14ミリという超広角域までをカバーする特殊レンズながら、バックフォーカスの呪縛から解放されたマイクロフォーサーズシステムの特性を生かし、非常に小柄な筺体を手に入れ、300グラムという驚異的な軽量化を達成しました。また、デジタル専用設計のアドバンテージを生かし、歪曲・色収差・周辺光量の不足といった欠点は画像データー作成時に見事に補正されます。これら新時代の補正技術により、解放から画面全域に渡り滲みの少ないクリアな画像を提供してくれます。f5.6~8あたりですでに解像感は頂点に達し、むしろ絞り過ぎによる回折への注意が必要な様です。

 ここまでの広角域を過去に記憶が無いと言っても良いほどの解像度で再現するこのズームレンズは、最前面に保護フィルターの装着が出来ず、またゴーストの抑制に若干の気を使いこそしますが、非常にコストパフォーマンスに優れた、マイクロフォーサーズシステムならではの一本となります。

 

 

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フルサイズ換算14mmという超広角レンズ。頭上の枝まで写し込む脅威の画角ですので、慣れないうちはどこまで写り込むのか全く見当がつかず、ついつい散漫なフレーミングをしがちになってしまいます。

 

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太陽を画面に入れたフレーミング。「一眼レフ」では眩しさだけではなく目を傷める可能性もある危険な行為。ミラーレス+超広角という事もあって可能になった撮影方法ですが、無論短時間で撮影をすまさなければセンサー部にダメージを残しかねない危険行為には違いありません。しかし高い逆光性能とこの条件下での解像感の高さには驚きました。ローパスフィルター付きのセンサーでも工事現場の安全ネットの網の目がきっちり分解されています。

 

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元々半球形にデザインされたガラス張りの昆虫展示館。画角の広いレンズで撮影すると何とも不思議な映像になります。デジタル補正によって歪曲収差もほぼ感じられませんので、こういった被写体にも安心してカメラを向けられます。

 

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7-14と数値変化以上に画面の変化が大きい超広角ズーム。結局はワイド端側で使ってしまう事が多い気がします。

 

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真上を向くと、超広角ならではの素敵な世界が広がります。意味もなく上を向いてしまう時間が増えるのですが、撮影が終わってPCに画像を取り込むと似たような映像ばかりになってしまい反省することしきりです・・・。

 

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農耕地の液体農薬の貯蔵庫。父の実家周辺は全国的にも有名な葉物野菜の産地ですので、こういった見慣れない建造物が点在しています。建築物の撮影では非常に重宝する焦点距離になります。

 

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強烈なパースとデフォルメが超広角レンズの真骨頂。標識にへばりついて撮影していますが、通行人からしてみたらさぞかし「不審人物」に見えるんでしょうねぇ。

 

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH

 フォーサーズ規格の小型センサーを搭載し、加えてミラーレス構造を採用したマイクロフォーサーズシステム最大の利点といえば、機材システム全体の小型化・軽量化が挙げられるでしょう。EVFや背面液晶といった表示用デバイスのサイズや品質、動画を含めた長時間撮影のためのバッテリーサイズの確保、また道具としての使い勝手やホールディングバランス等を考えると、カメラボディーサイズ自体の極端なダウンサイジングはナンセンスですから、その特徴は「レンズの小型・軽量化」にこそ現れると言えます。さらに、レンズの明るさの重要な要素である口径と、画角を左右する物理特性である「焦点距離」は、レンズそのもののサイズ・重量とある程度の比例関係にあるため、望遠レンズにおいてより顕著に表れることになります。

 171.5mm・985gという全長・重量は他社製含めフルサイズミラーレス機用の70-200mmのf4クラスのレンズにほぼ近く、近似画角のレンズで比較すれば理論値通りのほぼ半分のサイズ・重量で製品化された本レンズは、2021年3月時点でパナソニック製のマイクロフォーサーズ用レンズ群最長の焦点距離である400mm(35mmフルサイズで800mm相当の画角)をライカお墨付きの品質で実現した「超望遠ズームレンズ」となります。フルサイズでの800mmとなれば、ハチゴローの愛称もある800mm・f5.6が有名ですが、高い設計技術と最新の軽量素材を用いたとしても全長450mm、重量で言えば4kg越えと、よほどの肉体派カメラマンであっても長時間の手持ち撮影は至難の業となりましょう。しかし本レンズは解放f値6.3と半絞りのハンデこそあれ、画角調整も可能なズームレンズとし、また手持ち撮影も十分可能な小型軽量化を果たしている為に「超」が付く望遠域の撮影を手軽に楽しめるマイクロフォーサーズの恩恵を最大限に生かした製品となっています。また、強力なボディー協調手振れ補正のおかげで、本来であれば被写体を画面内に留めて置くだけでも困難な手持ち撮影も、(多少の訓練は必要ですが・・・)難なくこなせますし、オートフォーカスも静穏・俊敏でストレスなく被写体を捕まえてくれますので、鉄道・野鳥・飛行機・レースなど高速で移動する遠景の被写体を捉える撮影では、代えがたい存在になるでしょう。無論、主題を切り取る風景写真などでも、極端に圧縮されたパースによる望遠効果が生む独特の描写は表現の幅を広げ、スマートフォン等では代替不能な(将来はわかりませんケド)映像を提供してくれるでしょう。

 描写特性は300mm程度までは切れ味・コントラス共に優秀で、ボケも比較的素直な印象があります。300mm付近からテレ端では若干のコントラストの低下と解像感の低下が見られ、また二線ボケ傾向がやや強めに感じられるボケ像となります。この特性に関しては、ネット上でも同意見が散見されますが、メーカー公表のMTF値は非常に優秀ですので、超望遠効果による大気圧縮の影響や、微細なブレ、試用した個体の経年変化や個体差の影響も加味して考えないといけないのでしょう。(可能であれば別個体を試用する機会を設け、追記したいと考えます)また、引き出し式の内蔵フードは無いよりマシ程度の残念仕様のため、別途用意されるエクステンションフードはあった方がいいでしょう。取り外しができる三脚座が標準で付属しますが、造形が鋭利であるため、手持ち撮影時は「取り外し推奨」と言わざるを得ないほど、肌に食い込むドS仕様なので注意が必要です。(掌に三脚座を載せたい派の方は手の皮を鍛えるか手袋必須)また、初期の製造ロットではズーム作動が渋いと感じる個体もあったようですが、現在この辺りは改善されているという記述も見かけました。(レンズ先端を持って直進ズームとして使えば問題ないという猛者もいらっしゃいましたが)

 試用後は欠点の存在を感じる感想を得つつも、何物にも代えがたいスペックと超望遠効果による独特の描写、小型のカメラバックに十分収まるミニマムな外観など、それらを補って余りある特徴を持った本レンズ。被写体と使い方によっては、龍にも馬にもなれるポテンシャルを秘めた飛び道具として、養子に迎える日も遠くないのかもしれません。

 

 

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夕陽に照らされた廃機関車。望遠効果により圧縮された遠近感描写に、この車体が刻んだ歴史も同時に凝縮されているかの様です。100~200㎜付近の描写は先鋭度・質感描写ともに非常に満足度が高いものになります。

 

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足尾銅山のシンボル遺構、旧精錬所の大煙突。空のトーンを出したかったので露出をかなり切り詰めましたが、風雨にさらされ劣化した煙突表面の微細な凹凸をトーン豊かに描き出します。

 

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冬場にこの場所を訪れると、必ず「その者蒼き衣を纏いて、云々」という「あの一説」が頭に浮かびます。川の対岸に広がる枯野ですが、非常に繊細な描写が何ともいえないノスタルジーを誘います。

     

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テレ端の映像。合焦部のピントのエッジはまずまずでしょうか。前後のボケに特徴的な癖がでてきますので、被写体によっては向き不向きを感じるかもしれません。ニコンの500㎜反射望遠レンズで得られた映像にも似た傾向があったと記憶します。それにしても、フルサイズ800㎜相当となる画角では、ファインダーを覗くまで一体どんな映像になるのか想像するのが難しく、同時にあまりに肉眼とかけ離れた遠近感の圧縮描写に何度も驚かされます。そして、病みつきになります。

 

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流行りの言葉で「オールドレンズ」ライクな写りとでも言えばよいのでしょうか?バキバキのカリカリではないテレ端の描写は、どこかほっこりとした印象を受けます。

 

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逆光の影響もあったのか、やや眠たい映像となりました。天候はほぼ快晴でしたが、時折強風とともに粉雪が舞う中、圧縮効果によって空気中の雪が写り込んだ不思議な映像となりました。

 

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本レンズでのワイド端100mm。先鋭度が非常に高いキレキレな描写です。ノーマル設定のいわゆるJPEG撮って出しですが、学生時代に愛用したエクタクロームE100VSを彷彿とさせる特徴的なブルーの発色を見せてくれました。

 

P1171323

西日差し込む変電所の窓。映画のワンシーンの様な印象的な描写です。極端な光線状態でこういった描写を見せられると、所有欲を抑えるのが非常に困難になります。給付金、ワンスモア。

 

Lumix G Fisheye 8mm f3.5

 Panasonicのマイクロ4/3規格用交換レンズは、小型軽量で誰にでも親しみやすいデザインと、ポップでカラフルな外装を纏ったボディー群とは裏腹に、販売ターゲットを明確に意識したものに感じられます。一般ユーザーをターゲットとしたであろう14-45ミリと45-200ミリの2本を除けば、8ミリ対角線魚眼・7-14ミリ超広角ズーム・45ミリマクロレンズ・14ミリ広角単焦点・20ミリ標準系単焦点と、そのどれもが存在理由を明確に与えられた一本一本となっています。

 中でも最も異色を放つ8ミリの対角線魚眼レンズは、形成される特殊な画像故に決して多くの需要は見込めないと思われますが、システムの発表初期の段階から発売が決定していたようで、開発陣・営業サイドともに、このシステムへいかに力を入れていたかが改めて実感できます。事実、非常に描写性能の高い各レンズに倣い、特殊レンズでありながら非常に端正な結像をします。解放から十分にシャープネスを発揮し、f4あたりからすでに全面に渡って均一な解像性能を有しています。むしろf8で現れはじめる回折を考慮し、あまり絞り込まない方が得策と言えるでしょう。逆光性能も非常に優秀で、フレア・ゴーストともに極わずかで、シャドー部の諧調もしっかりと粘りを見せてくれます。屋外利用では太陽が画面に入り込むケースが多い超広角レンズですから、この性能は大きな武器になります。光学系に採用したEDレンズの恩恵からか、像のデフォルメが大きく発生する周辺部でも醜い色収差は認められず、安心して作画に没頭させてくれるでしょう。

 ライブビューで本レンズを構えると、背面液晶に映し出される景色はまるで、異世界への入り口にでも立っているような錯覚を覚えさせ、写真を撮るのを忘れて見とれてしまいます。どうやらライブビューで覗くフィッシュアイレンズの映像は、新しい可能性を感じさせてくれたようです。

 

 

P1000497

建築物など、直線で構成される被写体では本レンズの特性が発揮されます。何を写しても「異質」な印象を与えてしまうため、かえってマンネリ化してしまい易いとも言え、やはり使いこなしも「異質」な能力が必要なのかもしれません。

 

P1000492

対角線方向に180度という視覚を超えた画角を持ったレンズですから、実際ファインダーを確認するまで何がどう写るのか想像するのも難しく感じます。駐車場での一コマですが、正面の壁、実際は平面なのにご覧の描写。僅かのカメラの傾きにも神経質になりますね。

 

P1000478

超広角レンズですから、屋外使用する際には太陽が画面に入り込むケースが多くなります。ですが逆光耐性は十分に高いと言えますので、偶発的に発生するゴーストに気を付けさえすればクリアでコントラストの高い映像を提供してくれます。 

 

P1000486

8mmという焦点距離により被写界深度は非常に深く、屋外では多くの条件でパンフォーカスに近い描写になります。合焦とボケの使い分けによる画面構成がほぼ利用できなくなるので、いやでも画面構成力が試されることになります。使いこなすのはなかなか骨が折れますね。

  

 

Leica DG Summilux 15mm f1.7 ASPH

 マイクロ4/3フォーマットのカメラにおいて、35ミリフルサイズでの焦点距離30mmの画角に相当する15mm。

 この画角に合致するレンズを記憶の中に探すと、ペンタックス製の30mm以外には思い当たる物がありません。また既にパナソニックからは、明るさこそ控え目ながら14mmという近似焦点距離のレンズが存在しているにも関わらず、この「微妙」な焦点距離のレンズをあえてLeicaブランドで製品化したのは何故なのでしょうか?

 さらにこのレンズは精密感の溢れる金属製鏡筒の採用と、これまでのマイクロ4/3用パナソニックレンズには存在しなかった絞り操作リングや、マクロレンズ同様のAF-MF切り替えスイッチを搭載するなど、とても多くの特徴を備えています。あえてコストをかけてまで、これらの仕掛けをこのレンズに詰め込んだ理由とはいったい何なのでしょうか?

 「馬には乗ってみよ」とばかりに本レンズを入手すると、極めて私的ではありますがその謎の答えが見えてきた気がします。

 現在のカメラは各種機能の自動化が進み、撮影時のオペレーションは、ボディーを操作する右手にほぼ集約されています。左手の役目といえば、ブレを防ぐためのホールディングバランスの調整と、画角操作のズーミングだけになります。私の様に、ズームレンズにあまり縁がない者にとっては、左手の仕事は無いに等しいと言えるでしょう。もっとも、その「事実」にすら実際は気付いていなかったのですから、慣れというのは恐ろしいものです。

 時にはAFを解除してピントリングを操作し、被写界深度をコントロールするために絞りを1クリック毎操作する。右指はシャッターチャンスをモノにするため、只々静かにレリーズボタン上でその時を待つ・・・・。過去、当たり前に繰り返してきたこの左手と右手の連携が、作画への姿勢をこれほど研ぎ澄していたことに、このレンズは改めて気付かせてくれたのかもしれません。

 特徴的なその画角も、1:1のフォーマットを多用する自分にとっては、3:2比率での私的標準レンズであるフルサイズ35mmに似た心地よさを持ち、自身の目の延長としてフレーミングが行えます。描写性能も特徴的で、恩着せがましいシャープネスや眩しささえ覚える高コントラストとは無縁の、オールドライカレンズを想起させる優しさを持っています。また解放F値1.7では、ボケを生かしにくい小型センサー機においても、美しいボケを堪能できます。

 当初疑問だらけに思えたこのレンズの存在が、フイルムからセンサーへ・光学ファインダーからEVFへと撮影機材の変化を経ても変わらない、写真に対する情熱を再び思い起こさせてくれる事になるとは、Leicaというブランドの製品にはやはり何かの魔法でもかかっているのでしょうか。

 

 

P1010974

デジタル専用レンズらしい高い逆光性能を持ちますので、この位の光線状態でしたら描写に一切の破綻は見せません。15mmという焦点距離は被写界深度がかなり深いレンズですから、いとも簡単にパンフォーカスの世界が手に入ります。

 

P1020141

適度にパースを発生させる準標準レンズ。大好きな画角のレンズですから日常スナップで大活躍します。小型・軽量ですのでカメラにつけたまま常に持ち歩くのがクセになります。

 

P1010964

ボケ味も、柔らかめで素直な印象。思い切り寄ってもドカンとボケ過ぎないのが15mmという焦点距離の持ち味でしょうか。

 

P1010960

シャープネスという視点で見れば、おそらくは標準ズーム系にはもっとシャープなレンズも存在します。だからこそ合焦部に微妙な丸さを残したこのレンズの存在理由があると感じます。木製ベンチの木のぬくもりが伝わってくるような優しい描写です。

 

P1000441

アウトフォーカス部の枝ですが、うるさくならず、いい塩梅にボケてくれました。

 

P1000524

モノクロの世界を見ながらモノクロを撮影する。一眼レフではできない芸当ですが、ミラーレスがメインの機材になって至極当たり前な行為になりました。だからと言って安易なモノクロ撮影はしないよう戒めないといけないですかね・・・。

 

P1018097

シッカリ落ちたシャドー・かるく飛び気味なハイライト・なだらかな中間調・・・。デジタルになってからはゾーンシステムなんて考えずに写真を撮るようになりましたが、こういうレンズを持ち出すと、モノクロ写真を学問として学んでいた頃にタイムスリップする瞬間があったりします。

 

P1010602

当たり前ですがこの被写体、撮影する度に壁の蔦の様子が変わっていて飽きません。初めてのカメラ・レンズを持って出かけると、ついつい撮影してしまいます。

 

P1020223

会議へ出席する際、早めに出立して寄り道をしたひまわり畑。まさかの濃霧からの降雨。あわてて逃げ込んだ木立に素敵な景色が広がっていました。

 

Leica DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0

 マイクロフォーサーズフォーマットのカメラを使用する大きなメリットの一つに、賛同メーカーから販売される多数のレンズを利用できる事が挙げられますが、とりわけメインボディーのメーカー2社(オリンパス・パナソニック)のカメラ・レンズ群が、ほぼシームレスに相互活用できる事は、その描写性の違いを作風に織り込んだ制作を好む写真愛好家にとっては、とても魅力的に感じる事だと言えるでしょう。しかしそれは同時に、似通ったスペックの違うレンズからどのレンズを選択するべきかという課題に、常に付きまとわれる事も意味しています。

 その難題の一つが、フルサイズ換算20ミリ以下のワイド端をもつ超広角ズームレンズの選択となるでしょう。オリンパスからは、9-18/4-5.6・7-14/2.8PRO、ライカ・パナソニックからは7-14/4・10-25/1.7・本レンズ8-18/2.8-4と、なんと5本ものレンズがラインアップされているのです。しかも、それぞれが非常に高い描写性能と特徴を持つため、最適解がユーザー毎に全く変わってしまうのです。そして、あくまで「個人的な見解」という前置きをした上で、過去にパナソニックの7-14/4を所有し、その他のレンズも期間は短いですがそれなりに試用する機会が得られた私が出した結論は、本レンズ8-18/2.8-4となりました。

 ロジックはこんな感じです。まず、過去7-14/4を所有していた際、保護フィルターを装着できなかったため、前玉への汚れの付着とそれに伴う清掃や、携行時の傷防止にかなり神経質にならざるを得なかった経験から、両社の7-14mmは選択から削除。非常に軽量・コンパクトさが魅力で、保護フィルターも装着できるオリンパス9-18mmは、機械的故障のリスクが多少なりとも上がってしまう沈胴機構がネックとなり除外しました。残ったライバルは同じパナソニックから発売された最新レンズの一本10-25/1.7となる訳ですが、すでにズーム両端に近いライカ(パナソニック)12/1.4とオリンパス25/1.2PROを所有している事と、前述の5本の中ではとりわけ大型となってしまう点から、こちらは次点となりました。(選んだところで買えももしないクセに・・・・・というツッコミは甘んじて受け入れますヨ)

 さて、本題に入って8-18の紹介といきましょう。Leicaのお墨付きDGシリーズという事で、シャープネスや各収差の補正(デジタル補正含め)といったレンズの基本性能的な部分は当初から全く疑う余地のない高性能。公表されているMTF曲線が、超広角ズームレンズとしては異常と感じるほど優秀な値を示しているのも頷けます。ワイド端解放では僅か周辺部に解像感の低下を感じますが、実用性を損ねるレベルではありません。1絞りも絞ればズーム全域で非常にシャープネスの高い映像を提供してくれます。被写体が小さく写りがちな広角レンズではとても重要な要素ですから、その満足度も比例して高くなります。逆光性能も高く、太陽を直接画面に入れるような状況でなければ、画面のコントラストを低下させるようなフレアもほとんど感じません。付属のフードも作りの良さが光り、回転ロック機構のおかげで、ワイド端でも誤ってフードを写し込む事故を防いでくれます。MFやズームの操作性も高く、金属製鏡筒は精密機械を所有している満足感を与えてくれます。

 8mm(フルサイズ換算16mm)という超広角域での撮影が可能なのはもちろんですが、テレ端が18mm(フルサイズ換算36mm)と、自身が好む準標準画角まで到達してくれる点が地味ながら非常に役立った点も購入の決定打となりました。(7-14所有時はテレ端が28ミリ相当と広角レンズ感がかなり残ってしまっていましたので・・・)そして、これは期待していなかっただけに衝撃を受けたのですが、ボケの描写が超広角ズームであることを忘れるほどに素直であった点にも触れておかなければならないでしょう。ボケを生かした撮影が小型センサー機の超広角レンズで可能となれば、表現の幅が格段に広がります。まだまだ褒め足りない部分もきっとあるはずなのですが、テスト撮影の結果にここまでワクワクしたのはとても久しぶりでした。大学時代に浴びたライカの洗礼、効力いまだ衰えずと言ったところでしょうか。

 

 

P1170066

椅子の網目など、細かい部分まで本当に良く解像されて気持ちの良い画質です。比較的近接しての撮影ですが、被写界深度に余裕のある小型センサー機ですので絞りすぎによる回折ボケを回避できるのがうれしいですね。

 

P1169846

テスト撮影時のお気に入りの被写体。少し色づき始めた蔦の葉やガラス面に反射した木々、湿り気を帯びたコンクリートの壁面、それぞれの湿度の違いが見事に伝わります。

 

P1170106

逆光・ワイド端・解放・近接。意地悪の極みのような条件ですが、この描写。硬さは残るとはいえ、超広角ズームのボケとしては極上の部類かと。合焦部の解像感も損なわれていないのは、やはりライカ基準の品質だからでしょうか。

 

P1170162

ライカやツァイスのレンズを評する際「空気が写る」といった表現が良く使われますが、なるほど、そんなセリフも自然と口から出てくるのがわかる気がしませんか?

 


P1170169

鳥居の朱色と葉のグリーンが美しいコントラストを作ります。逆光性能も高いですから、このような撮影にも何の心配もありません。

 

P1170174

モノクロのトーンも見事ですね。ハイライトからディープシャドーまで非常につながりが良く、うっとりする程です。日没前とは言えかなり暗い条件でしたが、良く効く手振れ補正(本レンズには手振れ補正機構は内蔵されていませんので、ボディー内の補正のみとなります)は撮影スタイルを大きく変えました。

 

P1170185

こちらは、7-14/4でも撮影したことがある被写体。ワイド端1mmの差、作画への影響が実は小さくないのですが、心配性のため保護フィルター使用の可否も重要なファクター。いまにも小雨がぱらつきそうな条件では、その有難みが身に沁みます。

 


P1170139

テレ側18mmというのも大きな安心感があります。パースを控えめにした「ノーマル」然とした写りが一本のレンズでまかなえるのは魅力です。レンズ交換の手間を省けるのはズームレンズの最大の恩恵ですが、7-14mmではこうはいきませんでした。

 

 

Lumix G 20mm f1.7 ASPH

 その役割を販売戦略的に見れば、非常に重要な標準キットレンズ。そして、顧客ニーズの最大公約数を狙ったであろうズームレンズセットが、その販売の主流を担うデジタル一眼市場において、異端とも思われる単焦点レンズのキット化には、メーカーの確かな自信が垣間見えます。

 その自信を確かに裏付ける、35ミリフルサイズ換算で約40ミリとなる焦点距離のこの標準レンズは、丸みを帯びつつも十分にシャープな開放f値1.7の描写と、絞り込んだ際の解像感の非常に高い引き締まった画質ともに素晴らしく、明らかに同価格帯のズームレンズとは一線を画していると言えます。

 「誰でも」「簡単に」「綺麗な写真」が撮れることは、デジタル時代におけるカメラ・レンズ開発の1つの指標ではあるのでしょう。でもこのレンズには、

「もうちょっと工夫すれば、きっともっとイイ写真になるよ」

 といった「やる気」を起こさせてくれる、そんなアナログ時代のエッセンスが隠されているようです。パナソニックとの技術提携をしているライカ社往年の名機「ライカCL」の標準レンズとして、ズミクロンの40ミリが付属していた事を思い出せば、なるほど、このレンズには確かにサラブレッドの血が流れていてもおかしくはないようです。

 余談になりますが、巷ではこういった薄型のレンズを昨今「パンケーキレンズ」と呼称していますが、なんとも似つかわしくない「あだ名」を与えられたものだと、この新時代の高性能標準レンズに、わずかばかりの同情を覚えてしまう自分を発見するのです。

 

 

P1000017

首都高走行中(もちろん助手席ですよ)車内から撮影。フイルム歴が長い自分は、仕上がりをイメージしやすくする狙いもあってホワイトバランスは基本太陽光に固定しています。その為人口光源ではご覧の通り肉眼で感じる以上に独特の発色をします。オートホワイトバランスではもっとニュートラルな発色になるのでしょうが、写真の楽しみ方としては「太陽光」がしっくりきます。古い人間の証、なのでしょうか?

 


P1000223

有難いことにマイクロ4/3初期のボディーであるGF1でさえ、アスペクト比が選択可能でした。もちろんクロップがかかりますがアスペクト比1:1で撮影できるので、ハッセルで馴染んだスクエアが簡単に楽しめます。画素的には不利なのでしょうが、割り切れば案外十分と感じられます。

 

P1000080

自宅付近には過去に木工業で栄えた工業団地があります。取り壊す直前の工場跡はお気に入りの撮影スポットだったのですが、現在は新しい別の会社がたくさん入り風景が一変してしまいました。現在はモダンな美しい建物が多く建っていますが、写欲をまったく誘わないのには困ったものです。

 

P1000154

35mmフルサイズ換算での40ミリ。ライカCL系のユーザー以外にはあまり馴染みのない画角となりますが、開けても絞ってもとても優秀なレンズです。最初にこのレンズを購入しなかったら、もしかしたらマイクロ4/3のシステムを組んでいなかったかもしれません。

 

P1000275_2

夕闇が迫り、塒(ねぐら)へと急ぐ鳥の群れ。けたたましい鳴き声に、ちょっとした恐怖を覚えながらの撮影でした。連写をしつつ画面バランスを考えてチョイス。高速連写+結果確認で画面バランスを見ながらリテイクを重ねられるのはデジタルならではのメリットでしょう。

 

プロフィール

フォトアルバム

世界的に有名な写真家「ロバート・キャパ」の著書「ちょっとピンボケ」にあやかり、ちょっとどころか随分ピント外れな人生を送る不惑の田舎人「えるまりぃと」が綴る雑記帳。中の人は大学まで行って学んだ「銀塩写真」が風前の灯になりつつある現在、それでも学んだことを生かしつつカメラ屋勤務中。

The PLAN of plant

  • #12
     文化や人、またその生き様などが一つ所にしっかりと定着する様を表す「根を下ろす」という言葉があるように、彼らのほとんどは、一度根を張った場所から自らの力で移動することがないことを我々は知っています。      動物の様により良い環境を求めて移動したり、外敵を大声で威嚇したり、様々な災害から走って逃げたりすることももちろんありません。我々の勝手な視点で考えると、それは生命の基本原則である「保身」や「種の存続」にとってずいぶんと不利な立場に置かれているかのように思えます。しかし彼らは黙って弱い立場に置かれているだけなのでしょうか?それならばなぜ、簡単に滅んでしまわないのでしょうか?  お恥ずかしい話ですが、私はここに紹介する彼らの「名前」をほとんど知りませんし、興味すらないというのが本音なのです。ところが、彼らの佇まいから「可憐さ」「逞しさ」「儚さ」「不気味さ」「美しさ」「狡猾さ」そして時には「美味しそう」などといった様々な感情を受け取ったとき、レンズを向けずにはいられないのです。     思い返しても植物を撮影しようなどと、意気込んでカメラを持ち出した事はほとんどないはずの私ですが、手元には、いつしか膨大な数の彼らの記録が残されています。ひょっとしたら、彼らの姿を記録する行為が、突き詰めれば彼らに対して何らかの感情を抱いてしまう事そのものが、最初から彼らの「計画」だったのかもしれません。                                 幸いここに、私が記録した彼らの「計画」の一端を展示させていただく機会を得ました。しばし足を留めてくださいましたら、今度会ったとき彼らに自慢の一つもしてやろう・・・そんなふうにも思うのです。           2019.11.1

The PLAN of plant 2nd Chapter

  • #024
     名も知らぬ彼らの「計画」を始めて展示させていただいてから、丁度一年が経ちました。この一年は私だけではなく、とても沢山の方が、それぞれの「計画」の変更を余儀なくされた、もしくは断念せざるを得ない、そんな厳しい選択を迫られた一年であったかと想像します。しかし、そんな中でさえ目にする彼らの「計画」は、やはり美しく、力強く、健気で、不変的でした。そして不思議とその立ち居振る舞いに触れる度に、記録者として再びカメラを握る力が湧いてくるのです。  今回の展示も、過去撮りためた記録と、この一年新たに追加した記録とを合わせて12点を選び出しました。彼らにすれば、何を生意気な・・・と鼻(あるかどうかは存じません)で笑われてしまうかもしれませんが、その「計画」に触れ、何かを感じて持ち帰って頂ければ、記録者としてこの上ない喜びとなりましょう。  幸いなことに、こうして再び彼らの記録を展示する機会をいただきました。マスク姿だったにもかかわらず、変わらず私を迎えてくれた彼らと、素晴らしい展示場所を提供して下さった東和銀行様、なによりしばし足を留めて下さった皆様方に心より感謝を申し上げたいと思います。 2020.11.2   

The PLAN of plant 2.5th Chapter

  • #027
     植物たちの姿を彼らの「計画」として記録してきた私の作品展も、驚くことに3回目を迎える事ができました。高校時代初めて黒白写真に触れ、使用するフイルムや印画紙、薬品の種類や温度管理、そして様々な技法によってその仕上がりをコントロールできる黒白写真の面白さに、すっかり憑りつかれてしまいました。現在、フイルムからデジタルへと写真を取り巻く環境が大きく変貌し、必要とされる知識や機材も随分と変化をしましたが、これまでの展示でモノクロームの作品を何の意識もなく選んでいたのは、私自身の黒白写真への情熱に、少しの変化も無かったからではないかと思っています。  しかし、季節の移ろいに伴って変化する葉の緑、宝石箱のように様々な色彩を持った花弁、燃え上がるような紅葉の朱等々、彼らが見せる色とりどりの姿もまた、その「計画」を記録する上で決して無視できない事柄なのです。展示にあたり2.5章という半端な副題を付けたのは、これまでの黒白写真から一変して、カラー写真を展示する事への彼らに対するちょっとした言い訳なのかもしれません。  「今日あっても明日は炉に投げ込まれる野の草さえ、神はこのように装ってくださるのなら、あなたがたには、もっと良くしてくださらないでしょうか。」これはキリスト教の聖書の有名な一節です。とても有名な聖句ですので、聖書を読んだ事の無い方でも、どこかで目にしたことがあるかも知れません。美しく装った彼らの「計画」に、しばし目を留めていただけたなら、これに勝る喜びはありません ※聖書の箇所:マタイの福音書 6章30節【新改訳2017】 2021年11月2日

hana*chrome

  • #012
     「モノクロ映画」・「モノクロテレビ」といった言葉でおなじみの「モノクロ」は、元々は「モノクローム」という言葉の省略形です。単一のという意味の「モノ」と、色彩と言う意味の「クロモス」からなるギリシャ語が語源で、美術・芸術の世界では、青一色やセピア一色など一つの色で表現された作品の事を指して使われますが、「モノクロ」=「白黒」とイメージする事が多いかと思います。日本語で「黒」は「クロ」と発音しますから、事実を知る以前の私などは「モノ黒」だと勘違いをしていたほどです。  さて、私たちは植物の名前を聞いた時、その植物のどの部分を思い浮かべるでしょうか。「欅(けやき)」や「松」の様な樹木の場合は、立派な幹や特徴的な葉の姿を、また「りんご」や「トマト」とくれば、美味しくいただく実の部分を想像することが多いかと思います。では同じように「バラ」や「桜」、「チューリップ」などの名前を耳にした時はどうでしょうか。おそらくほとんどの方がその「花」の姿を思い起こすことと思います。 「花」は植物にとって、種を繋ぎ増やすためにその形、大きさ、色などを大きく変化させる、彼らにとっての特別な瞬間なのですから、「花」がその種を象徴する姿として記憶に留められるのは、とても自然な事なのでしょう。そして、私たちが嬉しさや喜びを伝える時や、人生の節目の象徴、時にはお別れの標として「花」に想いを寄せ、その姿に魅了される事は、綿密に計画された彼らの「PLAN(計画)」なのだと言えるのかもしれません。  3年間に渡り「The PLAN of Plant」として、植物の様々な計画を展示して参りましたが、今年は「hana*chrome」と題して「花」にスポットを当て、その記録を展示させていただきました。もしかしたら「花」の記録にはそぐわない、形と光の濃淡だけで表現された「モノクローム」の世界。ご覧になる皆様それぞれの想い出の色「hana*chrome」をつけてお楽しみいただけたのなら、記録者にとってこの上ない喜びとなりましょう。                              2022.11.1

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